第70話
第70話です。
一昨日まで冬休みだったせいか、朝からの勉強は少し堪える。6時半に起きるのもそうだし、単純に勉強も嫌だし。
土曜日が早く来ないだろうかと思いながら俺はあくびをする。
「ふふっ」
「ん?」
隣から笑い声が聞こえてその方向を見ると利根里さんがくつくつと笑っている。
「碧染くん眠そうだねぇ」
「そりゃ、睡眠時間足りてないからね」
「どれくらい寝たの?」
「5時間くらい?」
「わぁ少ない」
「でしょ」
「何してたの?」
この流れで何をしていたのかと聞かれるのは普通だと思うのだが、あまり言いたくない場合はみんなはどうするのだろう。でまかせを言うものなのだろうか。まぁ、俺にはやましい事は無いのだけど。
「漫画読んでた。新しいのを買い集めちゃってさ」
「へぇ、どんなの?」
「青春とほんの少しだけファンタジー要素の混じった感じかな。ファンタジーって言っても魔法とかじゃなくて人の心が読めたりとかそう言う超能力的なやつね」
「サイコキネシスもあるの?」
「いいやないよ。超能力の中でも本当に小さな特に便利でもないような能力が主に出てくるね」
「いや、心が読めるのは便利だと思うけど」
「まぁ、それは主人公特権ということで」
「何それ」と言いながら利根里さんはまた笑う。
笑う度にくるりとカールの巻いた茶色の髪の毛が揺れた。ほんのりとシャンプーのいい香りがするものだから心臓に悪い。
「それ私も読んでみたいなぁ」
「ん、じゃあ貸そうか?」
「いいの?」
「この流れ的に貸さない選択肢はないでしょ」
「確かに」
小悪魔みたいな笑顔は女の子のシャンプーの香りのように心臓に悪い。
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