第69話
第69話です。
たらふくラーメンを食べ終わった後に、俺と先輩はとっぷりとくれた夜空の下を歩いた。
パタリパタリと2人分の足音を聞きながら歩くのは楽しい。
こんなに美人の先輩と仲良くなって遊びに行けて、さらにはご飯まで一緒に行けているのだ。一体どれだけ前世の俺は徳を積んだのかと聞きたくなるほどにだ。
「いやー、美味しかったぁ〜」
ぽやんとした柔らかい笑顔を浮かべながら先輩は満足そうに笑う。
「そりゃよかったです」
「ありがとね。私にあんなにいいお店を教えてくれてね」
「いいえ、俺の好きな物を先輩と共有したかっただけなので」
「後輩くんの好きなものかぁ〜。他にも色々教えてくれるの?」
「え?」
瞳をキラキラとさせながら先輩は俺の方を見る。
「だから、後輩くんの好きなものだよ!あ、好きな〜」
そう言ってから、わざとらしく上目遣いをすると二、三度パチパチっとまばたきをした。
「せ・ん・ぱ・い♡でもいいよ〜?」
「あー、遠慮しとこうかなぁ……?」
「何でさ!?私だって言ってくれてもいいんだよ!?」
「いや……何か恥ずかしいですし」
「そこはサラッと言ってくれればいいんだよ!そっちの方がかっこいいと先輩は思うなぁ?」
「と言われましても」
恥ずかしいものは恥ずかしいし、それを本人に伝えるのももっと難易度が高い。確かに好きな先輩は先輩で間違いないのだが。だからといってそんな簡単なものでもないのだよ。
「まぁ、言う気になったら言いますよ」
「えぇー、つまんなーい!」
「俺はつまんなくないですからね!?恥ずかしいだけですからね!!」
そう言い残すと俺はほんの少しだけ歩く速度を上げた。
「あ、置いてかないでー!」
すぐに後ろからはローファーのカツカツという音が聞こえてくる。
なんだか犬みたいだなぁと少し思いながら、俺は1人ケラケラと笑った。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は、16日です。