第66話
第66話です。
「塩買って帰らなきゃ……」
青白くなってしまった顔を両手で隠しながら先輩は呟く。
どうやら先程スタッフに聞いた事と帰ってきた返答とで、あのお化け屋敷が以上だという事が分かったらしい。
それにネットの評価の方も見てみると、入った人の中には俺たちと同じような状況になったり、はたまた1時間ぐらいさまよったはずなのに、出てきたら5分しかたっていなかったりとをまるで異空間にでも飛ばされたような経験をした人が多数いた。
おそらく何かがあそこに巣食っているのだと思う。ただ、直接的な害が少ない上に、お化け屋敷の怖さが上がるということで特にお祓いはしないそうだ。その選択肢が正しいのかは別として。
「こんな時は楽しいかつ、ゆるゆる何かがアトラクションに乗ろ……」
という事でやって来ました。メリーゴーランド。ただ延々とぐるぐる回る馬や椅子の上に乗って過ごすだけなので、休憩にも丁度いい。普通に休憩すればいいのではという声が聞こえそうだが、時間は有限なのだ。休憩も有効活用しないと。
「2人乗りのに乗る?それとも1人で馬に乗る?」
「俺はどっちでもいいですけど、強いて言うならソリの形したやつの方がいいです」
「ソリってことは2人乗りのやつかぁ」
「ですね」
「じゃあ一緒に乗ろっか」
そう言うと俺の手を引いて先輩は率先してソリに乗り込む。ありがたいことに座席部分はクッション性のあるものだったので腰は痛めなくて済みそう。
しばらくするとビーという音が鳴りガタンと大きく音を立てて動き出す。そのままスピーカーからはファンシーな音楽も流れてきて、思っていたよりもリラックスできた。
「遊園地で遊び倒したあとはどこに行きたいとかある?」
隣に座る先輩は外でカメラを構えて子供を撮っている保護者の人や、他のお客さんを眺めながらそう言った。
「何となく気分的にはラーメン食べたいです」
「じゃあラーメン食べに行こっか」
そんな感じで緩く予定を立てると俺達は特に会話すること無く、時間に流れを任せてそのまま過ごした。
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