第48話
第48話です。
熱々のたこ焼きを綺麗に平らげると、どちらが何を言うでもなく自然とおみくじの方へと足が向かっていた。
お正月と言えばおみくじというイメージがあるためなのか、少し列になっている。御守りの販売も隣で行っているので後で見ようか。
「おみくじって、リセマラ出来るんだよねぇ」
「え?」
「だからさ、たとえ一発目で大凶が出ても大吉が出るまで引き続けられるってことだよ」
「そのおみくじの結果にご利益あるんですかね?」
「あると信じている限りあるのさ!」
おみくじをゲーム感覚でリセマラするのはどうかと思うが、大凶も別に悪くはないと思うのだ。いや、正確には悪い。悪いのだが、それ以上はもう悪くならない。つまり、運気は上昇するしかないと考えると、決して悪くないと考えたりする。
「まぁ、ゲームと違って全部有料なのでリセマラはさせませんけどね。それなりにいい値段しますから」
「分かってるよ!あくまでも、リセマラ出来るよねって話なんだから!」
ぷくりと頬を膨らませると「私だって大人なんです。そこら辺くらい管理は出来ます!」と言いながらぷりぷりと怒っていた。
「大人ですもんね。大人」
「そうだよ!大人!」
「ちなみに俺も大人だったりします」
「……認めない。私の方が大人だもん!」
「はいはい、そうですね〜」
ケラケラと笑いながら軽く流すと丁度おみくじの番が回ってきた。
一回2百円。2人分なので俺は500円玉を巫女さんに渡すとお釣りの100円を受け取る。
「あれ、私の分も払ってくれちゃったの?」
「そっちの方が効率いいですしね」
「そっか。後で返すよ」
そう言いながら先輩はおみくじの棒が入ったみくじ筒を振った。カラカラと中に入っている棒同士の当たる音が聞こえてくる。
「出てきた」
「何番でしたか?」
「24ですね」
巫女さんに先輩はそう告げると巫女さんは「少々お待ちください」と言って後ろの棚の方を向いた。そして二十四と漢字で書かれている棚を開くと中から一枚の紙を取り出した。あれがおみくじの内容なのだろう。
「ほら、待ってる間に後輩くんも引きたまえ!」
「はい」
先輩の指示に従いながら、俺も先程の先輩と同様にみくじ筒をカラカラと振った。するとすぐに数字の書かれた棒が出てくる。
「番号は15ですね」
「おぉ、私の好きな数字〜」
いい笑顔を浮かべながら先輩は嬉しそうに笑う。
俺の結果なのだが、まぁいいか。
戻ってきた巫女さんに番号を告げると、先輩の結果だけを先に渡して、巫女さんはもう一度棚の方に向かった。ただ、距離はほとんどないのでほぼノータイムで戻ってくる。紙を受け取ると俺と先輩はその場から少し離れた木の下に向かった。
「さぁ、結果を見ようか」
「ですね」
お互いに一度顔を見合わせた後、俺達は同時に紙を開いた。
お互いの紙に「大」の文字が見えた。大吉か大凶。どちらかだ……。
「大」の右隣に視線をサッと移動させる。
「吉……。やった!後輩くん!私大吉だったよ!後輩くんは!?」
「大……凶です」
「……そっか」
明らかにしぼんだ声に俺は少し申し訳なさを感じてしまう。いや、どちらも悪くないし、それに大凶は上がるしかないのだ。うん。そうだ、上がるしかない……。
それでもやはり、一番悪いのは少し堪える。
何とも言えぬ表情を浮かべている自覚を持ちながら結果を眺めていると、先輩が俺の背中を摩った。
「リセマラしよっか」
「流石にしません」
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