第47話
第47話です。
「はい、先輩の隣には後輩くんを置きますよー!」
「え?」
神様への挨拶を済ませた後に道を少し逸れると、ぴょんっと先輩が俺の隣に立った。先輩の言葉には少し驚いてしまう。
「さっき、お願い事してる時にそんな事言ってたでしょ」
「え、聞こえてたんですかっ!?」
「そりゃあね。私は嬉しいよ。後輩くんから隣にいたいだなんてセリフが聞けたんだからね」
「うわぁ……恥ずい……」
顔が熱くなるのを感じながら俺は両手で顔を覆う。
隣には先輩の気配を感じながら自然と足は出店の方に向かっていた。焼きそばやたこ焼きと手頃に手に入るものが多い。適当に指をさして「これにしますか?」と聞くと先輩はこくりと頷いた。
「たこ焼き二つお願いします」
「あいよぉ」
店員のお兄さんはそう言うと二つたこ焼きの入ったパックを手渡してくれる。
それを両手で受け取ると俺は先輩に片方を渡した。
「ありがとね」
笑顔で俺から湯気のたつたこ焼きを受け取ると、一緒に貰っていた爪楊枝をぷすりと刺した。
ソースの匂いが辺りには程よく香る。食欲を非常にそそるので、思わずお腹を鳴らしてしまった。
「後輩くんお腹空いてたの?」
「ま、まぁ……それなりには」
「言ってくれてたら何か出来たかもしれないのに」
「いやいや、そんな事で迷惑は掛けれませんって」
「えー?別にいいのに」
熱々のたこ焼きを一つ口に入れながら先輩はそう言う。
「熱っ……」
口をはふはふと動かしながら先輩は笑った。ゴクリと飲み込むと「いやー、想像以上に熱かったよ」とケロッとしながら話す。
「火傷とかしてませんか?」
「大丈夫だよ。さすがにそこまでヘマはしません!」
「そうですか」
先輩はまた一つたこ焼きを口に運びながら「そうなのだよ」と言って、先程と全く同じ事を繰り返した。
これはいずれ火傷しそうだな。
なんて事を考えながら、自分も一口で一つ食べた。
やはり熱い。
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