第46話
第46話です。
「「「10、9、8……」」」
周囲からは大きな声がカウントダウンを重ねる。
時刻は午後11時59分。あと少しだ。あと少しで今年が終わり、次が始まる。
「ほらっ、後輩くんも!7!8!」
「えっ、俺もですか!?えーっと、6!5!」
確実に過ぎていく時間。
脳裏には4月からの後輩くんとの記憶が駆け巡っていく。
初めて出会った時。一緒にサボった事や、夏休みには一緒にギターも見に行ってもらった。その時に選んでもらったキャップはしっかりと使わせてもらっている。
進路の事も相談したし、何より東京にだって2人で行ったりもした。
「4!3!」
あと少し……。
「2!1!」
スマホの画面に映し出される数字は次の瞬間全て0に変わった。
「「「「「ぜろー!!!」」」」」
周りからは深夜とは思えないほどの声量が聞こえてくる。かく言う私達もその1人なのだが。
「あけましておめでとうございます。先輩」
「あけましておめでとうございます。後輩くんっ!」
お互いに顔を見合わせて微笑むと「さっ」と声を出して、カランカランと鈴の音がなる方へ視線を向けた。
「神様に新年の挨拶だよ!」
「ですね」
◆◇◆◇
先輩は可愛い。それは随分と前から分かっていた。だが、それが最近は一層増したような気がしてきたのだ。
え?急に何の話かって?察しが悪いな。年頃の女性が前よりも可愛くなったというのだぞ。それには絶対に恋する乙女パワーが関わっているはずだとは思わないかね?
そうつまり!もしかしたら先輩に好きな人が出来たかもしれないということなのだ。
今でこそ俺の隣に立って一緒に新年の挨拶を神様にしているが、いつまで俺が先輩の隣に立てるのかは分からないのだ。
「神様どうか……先輩の隣には俺を置いていてください」
周りの声にかき消される程の呟きを零して俺は瞳を開いた。
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