第45話
第45話です。
少しずつ表示されている時間が大きくなっていく。11:49、50、51……。確実に時間は進むし、私達が早めることも遅めることも出来ない。けれど、この10分間はすごく長く感じた。
お互い時計を見てるばっかりでろくな会話は発生しないし、まだ新年になった訳でもないので初詣の列も動かない。つまり、暇だ。わずかな時間とはいえ、何もせずただ一点を見つめるというのは少し疲れる。
「先輩は何をお願いする予定ですか?」
不意に後輩くんはそう尋ねた。
お願い事か……。特に考えずに今日は来たな。
「あんまり考えてなかったや」
「そうですか」
「そういう後輩くんは何お願いするの?彼女欲しいとか?」
そう聞くと後輩くんは想像以上に驚いたようで「いやいやいや」と首と手を横に振って強く否定してきた。
「彼女とかは自力で作ります。神様には頼みません!」
「へ〜、できるなら可愛い彼女でお願いします!とかないの?」
「可愛いの価値観は俺のものなので、神様と一致するか分かりませんし、それも頼みません」
「そっか〜」
「そうですそうです」と頷きながら、後輩くんは周りにいる人達をぐるっと見渡した。私もそれにつられて一緒に見渡してみる。
「俺達世代の人達あまりいませんね」
「だねぇ」
「二年参り楽しいのに」
「楽しいよね。新年明けるまでのこの時間はすること無さすぎて暇だけど」
笑いながらそう言うと「何か暇つぶし出来そうなものでもあればいいんですけどね」と言いながらスマホで調べ何かを調べ始める。
しばらくその様子を見ていると、後輩くんは何かを見つけたようでこちらに視線をやってきた。
「占いみたいなサイト見つけました」
「占い?」
「です」
画面を見せてもらうと、水晶のアイコンが大きく映し出されており、下には「占う」という文字が大きく記載されていた。
「ここ押せばいいのかな」
私が横からポチッと押すと画面には「恋愛」「金運」「運勢」と出された。
なるほど、三パターンもあるのか。どれを選ぶのがいいのだろう。
「後輩くんは恋愛で決定として」
「えっ!?」
「私は金運かな?」
そう言うと後輩くんは「いやいや、先輩も恋愛ですからね?」ともの凄い圧でそう言い放った。
冗談で言ったつもりだったのだが、後輩くんが予想以上に反抗してくる……。
「はぁ」とため息を一つ着いた後に私は「恋愛」の文字をタップした。すると画面は少し切り替わってラブリーな感じの背景になる。
「これでいいんだよね」
画面中央にある水晶玉をタップすると光のエフェクトがピカーっと光り出した。
「何て出るのかな」
「さぁ?意外と恋愛運が低かったり……」
「こら!せ、先輩の私だって傷つく時は傷つくんだぞ!」
「あはは〜」
むぅ、反省してないなこの後輩くんは。
ほっぺたを指でギリギリと抓りながらピロリンと鳴ったスマホの方の画面を見た。
「出たみたい」
「えーと、先輩の結果は……」
「ナウでネクストにいるパーソンデスティニーだから、安心しなチェケラ、だってさ」
ナウ、今?ネクストは多分隣。パーソンは人で、デスティニーは確か……運命!ん?という事は?
そう思ってから隣を見ると、私と同様にこちらを見ている後輩くんと目が合った。
お互いに耳は赤い。
「し、所詮、占いだしね〜」
「で、ですね」
「当たるとは限らないし、ほらっ次は後輩くんだよ!」
そう言って占いをさせたら私と同じ結果が出たのはまた別の話。
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