第43話
第43話です。
椅子の上で膝を抱えながらスマホを眺めていた。ブルーライトが目に入っている感覚は分からないが、きっと悪いであろう事は分かる。
すいっとスマホをスワイプしながら私は過去のメッセージのやり取りを眺めていた。
『後輩くん!』
『何ですか?』
『暇!』
『寝ますね』
かなり適当にあしらわれている気がしないでもないやり取り。それを見て少しだけ笑うと他の日付のものも見てみる。
『後輩くん!』
『何ですか?』
『暇!』
『寝ますね』
……少し待とうか。なぜ全く同じ、一言一句違わないやり取りが行われているのだ?日付変わってなかったのだろうか。……いや、さっきのやり取りから一週間も前のやり取りだ。つまり、本当に全く同じやり取りしかしていなかったという事になる。
何だかそれは少し寂しいような気もした。私の話の振り方が悪かったというのもあるのかもしれない。しかし、即寝るという判断を下す後輩くんにも問題はあると思うのだよ。
「たまには後輩くんからメッセージが送られてきてもいいんだけどなぁ〜」
椅子の上で呟きながら私はスマホの電源を落とす。
願ってすぐ来るのならとっくの前に後輩くんからメッセージを送ってくるのは日常になっていたはずだ。だけど、お願いした訳でもないからそうなる事は無い。なら、来る可能性を望みながらギターでも弾いて時間を潰すのが最適だろう。練習は大切。
簡単にチューニングだけ済ませると、私は最近よく聴くバンドの曲を弾く。
初めは爪弾くように弾きながら、サビに近づくにつれどんどんと激しく情熱的に。
「〜♪」
やっぱり好き。このスっと耳馴染みのいいリズムの感じといい、心に刺さる歌詞といい。はたして私にはこのレベルの歌詞と作曲が出来るのだろうか?うむ、分からない。
腕を組みながら少し悩むと、私は試しに簡単なパッと思いついただけのフレーズを弾いてみた。
初めからそれなりに激しいテンポ。かといって急ぎすぎる訳ではない。自分で言うのは何だか気が引けるが、それでも悪くはないと思った。
ただ、何度もリピートしたくなるのかと聞かれれば、何とも言えない。というか割とこんな感じの曲自体が多過ぎるのだ。他の楽曲との差別化が全く図れない。
「悩みは尽きないよ……。音楽も気になってるあの事も」
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