第35話
第35話です。
久しぶりの遠出と慣れない土地での行動が重なった結果だろうか。体には疲労が重く蓄積している。
主に足首とふくらはぎに疲労が溜まっているのか、歩くのも少し辛い。
「いたた……」
先程は先輩にお休みと言ったが、まだ風呂に入れていないので今から入らないといけない。夜もだいぶ深くなってるから早めに入りたい。とは言えだ、足が痛いのは変わらずで風呂場に行くのが少しめんどくさくも感じるのも事実なのだ。
「いや、入るけどさ」
壁に手を付きながらよろよろと歩き脱衣所に辿り着くと、のろのろとしながら服を脱いでいく。すると、服を脱いだ時にふと鏡に映る自分と目が合った。
日頃から筋トレだけはしているおかげなのか、腹筋は綺麗に割れている。
(努力の成果が出てて嬉しい限りだよ)
にんまりとした笑みを浮かべながら俺はさすさすと自身の腹筋を撫でた。
一種のナルシストになりつつあるんじゃないかと思いながら、俺はスっと撫でるのを止める。
「ナルシストにはなりたくないからな」
風呂場に入りシャワーを出すと体をサッと洗い流す。そして、俺はホテルの部屋に入ってから浴槽にすぐに張っておいたお湯にちゃぽんと浸かった。
疲れがお湯に溶けだしていくような感覚がする。
じんわりと体の芯から暖かくなっていく感じは非常に心地がいい。
「ふぅー……溶ける〜」
顎の辺りまでお湯に浸かっているとお湯と一体になる感じが本当に不思議と自然に感じる。
◆◇◆◇
布団は暖かい。
そう綺麗に整えられた布団の中に潜りながらそう思った。家の布団よりも上質な気がするのは気のせいではないはずだ。だから、本当に暖かい。
「じゃあ、自分。おやすみなさい」
目を閉じると真っ暗な世界に入る。
まぶた裏には先輩の顔が浮かんでくる。笑顔で可愛いそんな先輩の姿。正直に言えばずっと見ていたいくらいに可愛い。
今の自分が偶然の出来事で先輩と関わりを持てているという事に、どうしようもないほどに『奇跡』というものを感じながら、俺は意識を夢の世界に飛ばした。
夢の世界はきっといい未来の話。
俺が願う来て欲しい未来の話。
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