第31話
第31話です。
「ふぅ」
息を吐きながらスカイツリーを出る。外は変わらず寒く、息を吐く度に白くなっていた。
「次どこ行く?過ごしやすそうな街?」
「うーん、どうでしょう。東京の都会としての姿は出来れば長い間見ておきたいですし、だからと言って住宅街を無視するわけにもいかないですからね」
腕を組みながら「うむ」と悩んでいると、先輩は俺の気も知らずにチューっとコンビニで購入したタピオカを飲んだ。
あまりにも自由すぎて俺は少しおかしくなって笑ってしまう。
「どしたの?急に笑いだして」
「い、いや、先輩って自由だなぁって思って」
「自由は素晴らしいよ?」
「当たり前でしょ」と言いながら先輩はもう一口タピオカを飲む。
先輩があまりにも美味しそうに飲むので、俺も少し喉が乾いてきた。近くに自販機かコンビニが無いかと軽く見渡してみるが、そういったものは見当たらない。
「何か探してるの?」
「いや、喉が渇いたなぁって思って」
そう答えると先輩はしばらくの間自身の手に持つタピオカを見た後に俺の方を見た。そして、そのタピオカを俺の方に差し出してきた。
「飲む?」
「え?いやいや、何言ってんですか。飲みませんよ」
「でも喉乾いてるんでしょ?」
「まぁ、そうですけど」
「なら、飲まないと」
ほんのりと白い陶器のような肌を赤く染めながら、先輩はそう呟く。
「でも……」
言葉に詰まりながら渋る態度を見せると、先輩は「はぁ」とため息をついた。
「後輩くんは初な中学生かね?もう私だって大人だし、君も大人だ。だから関節キスなんて気にしなーい!」
そう言いながら先輩は俺の口にストローをさしてきた。むぐっと一瞬息を吸えなくなる。
「はーい、飲んで」
先輩の指示に従い俺はチューっとタピオカを飲んだ。口には甘さと柔らかいつぶつぶが弾ける。
「ふふっ、よく飲めまちたねぇ」
赤ちゃん言葉で俺の事をほめてくる先輩。イラっという感情と恥ずかしいという感情がごちゃ混ぜになって大変だ。
いつか先輩にも恥ずかしい目に合わせてやると思いながら俺はそっぽを向く。
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