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第30話

第30話です。

 東京都目黒区に位置する、ここスカイツリー。日本一の高さを誇る建造物と言うだけあって圧巻としか言いようがない。


「たっか……」

「おぉ!これがかの有名なスカイ・ツリー!」

「なんか名称の分け方変でしたよ?」

「ありゃ?そうかな?」


 何を言っているのか分からなーい、といった表情を浮かべながら先輩は俺の手を引く。


「さ、時間は有限なのだよ!早く中に入ろうではないかい後輩くん!」

「はいはい」


 途中の展望台まで上がると、俺達は一度そこでエレベーターを降りた。そしてすぐに上の展望台に行くためのチケットを購入し終えると、またエレベーターに乗り込む。


「私達の街にはこんなに大きい建物無いから新鮮」

「確かにそうですね。まぁ、このレベルのはここにしかないですけど」

「何で?」

「いや、これが日本一ですから」

「あ、そっか」


 ぽんっと手を叩きながら、先輩は納得したように頷く。

 この人は時々常識的な知識が欠落している部分があるから少し怖い。これでもし、「赤信号みんなで渡れば怖くない」を信じていたらすぐに止めないと。先輩が早死してしまいそうだ。


「それで、やっほー!はしますか?」

「いや、さすがにしないよ?もう分かってるからね?」

「そうですか」

「そうですよ」


 先輩のやっほー!が聞けないということが少し残念だなと思いながら、俺は外の景色を眺めに行った。

 見える景色は基本的に灰色。ビルが多いので当然と言えば当然なのだが、にしても灰色だ。


(これなら色彩は俺達の田舎の方がマシだな)


 大都会に勝てる部分を見いだせた事に少しの優越感を感じつつ、俺は先輩の方を向いた。先輩はスマホを構えてパシャパシャと写真を撮りまくっている。


「撮りすぎでは?」

「そう?友達とかに自慢するように沢山必要かなって思ったんだけど」

「いや、一枚でいいでしょ」

「えぇ……。沢山撮ってた方が、写真の選別の時によりいい一枚を選べない?」

「そうかもですけど……」


 ぷくりと頬を先輩は膨らませ始めたのでそれ以上何も言わない事にした。ここで不貞腐れられても困るし。


「そうだ、後輩くんの写真も撮ってあげる!」

「嫌です」

「どうして?記念にいいじゃん!」

「いや、俺はただの付き添い兼ボディガードですし。記念も何も……」

「もー、グチグチうるさいなぁ」


 そう言ってから先輩は俺の隣に立ちスマホを構えた。


「はいじゃあ撮るよー」

「え、いや、だから俺は撮るなんて……」

「はいチーズ!」


 パシャリとフラッシュが炊かれ、ディスプレイには満面の笑みを浮かべた先輩と、先輩の方を見ながら慌てる俺の姿が写っていた。

 こう見てみるとあながちカップルに見えなくも……それはないか。あまりにも不釣り合いすぎる。

 先輩の隣にはもっといい男がいるだろう。

 例えば、高身長イケメンで、眼鏡をかけた理知系オシャレ男子とかな。んでもって、先輩がその男に甘えるって構図が……。やめよ、こんな事考えるの。


「どったの?暗い顔しだして。そんなに写真嫌だった?」

「あー、いや、そういう事ではないです。ただ嫌な事を考えただけで」

「ふーん?ま、それが何なのかは分からないけど、今くらいは笑顔で過ごそうぜ!後輩くん!」


 バンッと俺の背中を叩くと先輩はニッと笑った。そんな元気一杯の笑顔を向けられると俺も自然と笑顔になる。


「ですね。何かすみません」

「ううん。いいのだよ!後輩くんの面倒を見るのも先輩の務めなのだ!」


 誇らしげにそう言う姿は少しだけ頼りがいがあった。

 そう遠くない未来、この人は本当に頼れる人になってそうだな。

ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!それと次回は28日です。

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