表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/311

第29話

第29話です。

 心地のいいジャズのBGMを聴きながらスマホを眺めていると「お待たせしました」という店員さんの声と共に俺達の朝食が届けられた。

 黒いコーヒーと焼き立てトーストからは淡い湯気が立っている。


「わぁ、美味しそう!」


 目をキラキラとさせながら先輩はじゅるりと唾を飲み込んだ。微かにキュルルとお腹の音が先輩の方から聞こえた気もする。


(あれ、そば食べてたよね?深夜に食べてたよね!?)


 先輩のお腹の容量に驚きを覚えながら、俺はトーストにバターを塗った。

 トーストの上にバターが載るとジュワァと溶け出した。テラテラと店内の電球に反射して、トーストがより一層美味しそうに見える。

 パクリとトーストにかぶりつくと予想通りの味が広がる。


「美味い」

「よかったねぇ」

「先輩の方はどうですか?」

「ん〜?美味しいよ。さすがサンドイッチさんだよ」


 ニッと笑いながら先輩はパクつく。

 この人が何かを食べている時とギターを引いている時の姿は何回見ても見とれてしまう。


(美味しそうに食べすぎるんだよな)



◆◇◆◇



 カランコロンと音を鳴らしながらカフェを出ると、俺達はひとまずスカイツリーに向かった。

 先輩がどうしても行きたかったらしい。「お願い!スカイツリーに登るのが私の夢なの!」などと言われたら叶えてしまいたくなるだろう。本当の夢はアーティストのはずなのだけど。


「で、先輩はスカイツリーに登ったら何するんですか?」

「そりゃもちろんやっほー!だよ?」

「え?」

「え?」


 俺にはどうしても先輩の言う事が理解できなくて困惑してしまった。


「先輩?スカイツリーの中からガラスに向かってやっほー!って言うんですか?」

「え?ガラスって空いてないの?」

「空いてませんよ?空いてたら危なすぎません?」

「うむぅ……た、確かに」


 プクッと頬を膨らませながら先輩は「やっほー、出来ないのか……」とブツブツ呟いていた。

 その様子を見た後に俺は思わず「ふっ」と笑ってしまう。

 やっぱりこの人は可愛らしい。


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は26日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ