第294話
第294話です。
スタジオで演奏の合わせの練習をしていた。
bitterbitterが世間的にもかなり認知されてきて嬉しいといった感じで、おかげで街中を歩いていると声をかけられることも多くなってきている。そんなbitterbitterの練習の休憩の合間の話。私はアスナちゃんにこう言われた。
「そう言えば京弥、風邪引いたみたいなんですよね」
ペットボトルの水をクイッとあおりながらアスナちゃんは私にそう話す。私にとっては思い当たる節しかない話題なのでもっと詳しく聞きたいのだが、それ以前になぜ後輩くんは私にちゃんと言ってくれなかったのだろう。
「それ、いつ知ったの?」
尋ねるとアスナちゃんは何でもなさそうに「昨日の夜ゲームに誘った時です」と教えてくれる。
「チャットでメッセージ送ったら風邪引いたから今日はパスでって言われて。おかげで昨日の夜はソロで狩りに行きましたよ」
「ゲームの内容は知らないけど、寂しかったんだねぇ?」
「別にそんな事はないですよ」
少しだけツンとしながらアスナちゃんはそう話す。
多分、一緒に遊びたかったんだろうなぁ。
そう思いながら、私は今日の帰りに後輩くんの家に看病に行くことを決意する。そうと決まれば帰りに冷えピタとゼリーとスポーツドリンクを買っていかなければ!
一足お先に失礼させていただくために私は2人に挨拶だけ済ませると、ギターをしまってスタジオを出た。
◆◇◆◇
小走りで駆けながら自宅近くのコンビニに向かう。そこで看病セットを揃えると私はLINEで後輩くんにメッセージを送る。
『今日寄るね』
少ししてから既読が着いて誤字混じりのメッセージが届いた。
『どうサタンですか?』
おそらくどうしたんですかと打ちたかったのだろうけど、それがさになって自動変換でサタンになってしまったんだろうね。まぁ、風邪を引いてるなら誤字くらいあってもおかしくない。
私は『気にせずに待っていたまえ!』とだけ送るとスマホの電源を落とした。
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