第286話
第286話です。
番組の収録を終えて家に帰る。
夜遅くからの収録だったので今は非常に眠い。時々足元もふらつきそうになりながらなので、アスナちゃんに肩を借りながらなんとか踏ん張っている。
「カオリさん大丈夫ですか?タクシー呼びましょうか?」
私のことを心配してそう尋ねてくる。
「ううん、大丈夫。ここからだとむしろ割高だしそれに付き合わせるわけにもいかないからさ」
「とは言ってもですね、カオリさんから疲れてますよオーラがすごい滲み出てるんですよね」
「え、うそ」
「ほんとです」
「そんなぁ……」
疲れてるのは事実だしどうしようもないけど、隠し切れてるとは思っていた。てっきり私が夜遅くまで起きててふらつくくらい眠いから介抱してくれてるだけなのだと思っていたけど、疲れを滲み出させてたらそりゃ気も使うよね。これは反省案件だ。
一人心の中で反省しつつ、私は二人にごめんねと伝える。けれど二人は優しいから別に大丈夫だとあっさり言い切ってしまうのだ。
「まぁ、カオリさんを運ぶのに体力がいるんでそこらへんに関しては考えものですけど、でもそれも対処法があるんでね」
そう言ってアスナちゃんは私にスマホの画面を見せてくれる。表示されているのはLineのトーク画面。相手は後輩くんだ。
『なぁ京弥、今暇か?』
『暇ですよ。どうかしましたか?』
『ちょっと助太刀してくれないか?』
『助太刀?』
『そう。京弥の大好きな先輩に関する助太刀だ』
『すぐ行きます』
「と、いうことです」
この一連の流れを読まされて私は少し恥ずかしくなる。
まず後輩くんの大好きな私ってところもそうだし、何より助太刀っていう曖昧な言葉だけですぐに来てくれようとする後輩くんのその気持ちも今はなんだかこそばゆい。
自分の顔が少し熱くなるのを感じながら、それを冷ますように夜風に身を任せる。
私は……私は多分……。
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