第284話
第284話です。
『そうかな?』
電話越しから聞こえてくる先輩の声。
『そうですよ。今まで聞いてきた先輩の曲の中でぶっちぎりの一番です』
『えへへ、それは良かった』
照れたような少し恥ずかしそうな、けれどやっぱり嬉しそうな。そんな声が聞こえてくる。
『ネットの評価を見てても案外受け入れられてるし、私としては少し安心。あとは最後までこのドラマが人気であることを祈るだよ』
『そうですね。きっと、それには先輩の曲がいい感じに作用してくれると思うので大丈夫だと思いますよ』
『そうだと嬉しいな』
『そう願いましょ』
うん、と返ってくる返事から少し間が空く。
面と向かい合って話すのは平気なのに、こうして電話越しで相手の声しか聞こえない状況の方が緊張するのはなぜなのだろうか。耳元で囁かれているように感じるからだろうか。いや、いずれにせよ、今の俺にとってこの状況はほんの少しむず痒さを感じる。いつもと違う感じがするのだ。
『とにかく、bitterbitterがめっちゃ良かったって話だけは忘れないでくださいね。俺明日の大学朝早いんでもう寝ます』
『そっか。ごめんね、夜遅くに邪魔しちゃって』
『いえ、先輩からだったら基本何でも歓迎ですから』
『ふふっ……ありがと』
そう言ってから先輩はおやすみ、と残して電話を切った。
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