第279話
第279話です。
「はーい、レコーディングオッケーでーす。お疲れ様でしたー」
ガラス越しのスタジオの中で、私達は頭をスタッフの人達に向かって下げる。
bitterbitterの完成だ。
ギターを片し、ケースにしまうと背に担いだ。そして分厚い防音性の扉を開いて外に出てからもう一度スタッフの人達に頭を下げると、アスナちゃん達と一緒に建物の外に出る。
帰り道にファミレスに寄ると、私達はそこでポテトをつまみながら他愛もない世間話で盛り上がっていた。
「にしても、ドラマどんな感じになるんですかね」
「うーん、分かんない。大まかなあらすじは知ってるけど、逆に言えばそれだけしか知らないし、なんともねぇ。まぁ、今は人気が出てくれることを祈るばかりだよ」
「まぁ、そうですよねぇ。人気、出てくれないと私達も困りますしね」
「そうそう」
頷き合いながら私達はふはっと笑う。
そういえば第1話の放送は3ヶ月後だと言っていたか。既に大半の話は撮り終わっているらしく、残るはクライマックスの3話分だけらしい。ドラマがどんなスケジュールで作られているのかなんて、今まで知る由もなかったけれど、この機会にその一端を少しでも知れたのは良かったと思う。まぁ、知ったとて何があるわけでもないが。
ところでこのドラマの主題歌に抜擢されている話を私はまだ後輩くんにはしていないのだが、いつしようか。あまり早くに言いすぎると上の方からお叱りの声が飛んできかねないのでそこの見極めは本当に大事。
そうだなぁ。俳優さん達が番宣をテレビでしだした辺りがいちばん良いだろうか。それならそもそもの情報として出ている可能性もあるし、言ったところで怒られないはず!
そんな事を考えながら私はドリンクバーで入れてきたジンジャーエールを喉に流し込むのだ。
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