第278話
第278話です。
完成した歌詞に合わせてメロディーをつけていく。ギターの弦を一音一音確かめるように弾きながらするこの作業は私にとっては割と楽しかったりするのだ。けれど、この曲に関しては少し行き詰る。
歌詞の時と言いメロディーと言い、私はもしかしたら大きな期待には少し弱いのかもしれない。
後輩くんからとか、友達からとか。身内からの個人的な期待ならむしろエネルギーに変えて活動できるけど、そうでは無いお金も絡んでくるようなものはもしかしたらエネルギーに変えきれないのかもしれない。大きすぎるがゆえにだ。
ここでもしこの一音を違う音程に変えていればもしかしたら大ヒット曲になるのかもしれないし、その逆もまた然りなわけで。常に未知数だらけの未来と対峙しながらのこの作業というのはかなりの精神力を要するように感じる。
私の精神はきっとまだ完全には成熟しきってはいない。むしろその点においては後輩くんの方が大人だとも思う。だから、私は後輩くんやアスナちゃん、メグさんに頼って助けて貰ってと色々しなければならないのだ。
未熟だから、子供だから。
法律上では大人になっただけ。
ただお酒が飲めるようになっただけ。
ビデオ屋さんのエッチなコーナーにも人目をはばからずに入れるようになるし、賭け事だって出来てしまう。
けれどそれは精神の成熟とは結びつかない。
私にとってこの曲は、私が真に大人になるための曲でもある。そう思うのだ。
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