第274話
第274話です。
「新しい曲のインスピレーションは降ってきましたか?」
俺はベッドの上に転がる靴の主にそう語りかけた。
「ううん、なかなか降ってこないよ。いやぁ、にしても曲ってなんでこんなに作るの難しいんだろうね」
「それを俺に尋ねられても……。むしろ俺からしたら、曲をちゃんと完成させてそれを好きって言ってもらえてる先輩達の方がよっぽど凄いですよ。人が自分の作ったものを評価してくれるかどうかなんて分からないのに、それでも折れないそのメンタルは本当にすごいです」
「ん〜、私は好きでやってるだけだから折れる折れないは無いけどなぁ。まぁ、でも褒め言葉は素直に受け取っておくよ」
あはは、と笑いながら先輩はまたゴロりんとベッドの上に転がる。
少し遅れたが、先輩が今俺の部屋にいる理由を説明でもしようか。会話の流れからわかるが、先輩は今現在、曲を作っている最中だ。そしてその曲作りの際には常に新鮮さというものが必要らしい。しかし、普段歌詞を書く家や、バ先などでは慣れてしまって緊張も新鮮さも何も無いらしいのだ。そして考えた結果がこの家ということだ。男子の家という緊張感と新鮮差に溢れたここであれば歌詞も簡単に降ってくれるだろうという魂胆。
しかし、現実はそうも上手くいかないのだ。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は28日です。