第261話
第261話です。
シトシトと降り始めた雨の中、俺はカバンを頭の上に掲げて走る。肩は濡れて少し寒いが、もう少しの辛抱だ。
時折横を通る傘を持つ人を羨ましく思いながら、今日の朝の天気予報を見なかった自分を恨む。
「セーフ……じゃないけど、まだマシか」
頭以外すっかりびしょびしょになった体で俺は自分の部屋に帰ってきていた。荷物は玄関に置いてそのまま風呂場に向かう。お風呂も沸かしていなければ、シャワーから出てくるのもまだぬるい水なのでしばらくは凍えることになりそう。
◆◇◆◇
何とか体を温め終えてから、俺は部屋着に着替える。
しかし、今日の講義はやばかった。何せ眠すぎる。必修だから仕方がなく取っているが、あまりにも興味の無い内容なので全く頭に入ってこない。おかげで突っ伏して寝てしまうところだった。
「あー……バイトも今日は休みだし、どうしようかな」
一人暮らしを初めてから少しずつ自炊を始めていて、ある程度は料理ができるようになった分、少しでも材料があれば食事はできるようになった。が、それゆえに材料が冷蔵庫にある今、外に出る必要もなくほんとうにすることが無いのである。
仕方がない。動画の編集でもするか。
パソコンを開き、先輩から送られてきていたデータを移した。そしてYouTubeにあげるために動画を切ったり貼ったりを繰り返して一つの映像にしていく。
この単純なようで複雑な作業。かなりの体力を要する上に、時間もかかる。けれど完成した時の達成感というのは計り知れない。けど、毎日はしたくない。絶対に。
そんなこんなでただひたすらに、黙々と作業を続ける時間が続くのだった。
部屋の片隅ではメールの受信を知らせるスマホのバイブが寂しく響いている。
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