第260話
第260話です。
4月に入り、入学式を終えて俺はついに大学生となった。
夢に見たキャンパスライフ。綺麗な校舎に広い敷地。公園と見間違えてしまいそうな中庭。何より都内に建っているのでアクセスが素晴らしく良い。
「あぁ……帰りたい」
しかし現実というのはそこまで甘くなく、俺は3月までのバイトと家の往復生活にすっかり慣れてしまい、こうして朝から家の外に出るのが億劫になってしまっていた。
この大学には先輩がいる訳でもないし、何より知り合いもいない。つまるところひとりぼっちなわけだ。
1人で新天地というのはかなり不安なもので、俺としては誰もいない家が安心というわけだ。
「えっと、俺の一限目の教室は……こっちか」
敷地内マップを頼りに俺はてくてくと歩き回って講義を受けに行く。辺にいる人はオシャレな人ばかりで俺があまりにも霞んで見えるのだが、逆に言えば目立つことはなさそうなのでそれだけはありがたい。
教室内に入って俺は出来るだけ隅の方に座る。初回はガイダンスがメインなのでそこまでの労力はかからない。なので俺の今日の荷物はパソコンと財布とスマホのみだ。
頭の中には今日の予定。
家に戻ったら速攻バイトに行くというもの。
うん。今は勉強のこと考えたくない。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は31日です。