第254話
第254話です。
「んふ〜、美味しぃ〜ね〜」
満面の笑みを浮かべながら美味しそうに焼き鳥を頬張る先輩。そしてそんな先輩はなぜか俺の部屋にいるのだった。
バイト帰りに偶然出会ってから、そのまま俺の部屋で晩ご飯を食べてしまうという流れになっていた。なのでこうして先輩がここにいる。
先輩はこの部屋に何も荷物がない状態の時を知っているが、こうして俺の荷物が運び込まれて整理された後の様子を見るのは初めてだ。なので部屋に入ってのまず第一声は「おぉ!ちゃんと後輩くんが引っ越してきた!」だった。いや、元々引っ越してはいたのだが、先輩曰く、何も無さすぎて誰も住んでいない部屋の感じがしてならなかったらしい。
まぁ、そんなこんながあって今現在に至るというわけだ。
「冷めても美味しいのってすごいよねぇ。普通こういうのって出来たてが美味しいものでしょ?」
「まぁ、そうですね」
「けど、冷めても美味しいのはもっとすごい」
しみじみとそう思っているのか、うんうんとなにやら感慨深そうに頷く。
「ところで、後輩くんの大学はいつから始まるの?」
「4月の7日からです」
「7日かぁ。ということはまだ1週間と少しあるんだね」
「ですね。その間はバイトと寝るだけの暇な時間ですけど」
俺がそう言ったところで、先輩の瞳がキラーんと光ったような気がした。
「そこでだよ後輩くん!ぜひ暇な時に私達のライブに来ないかい!」
「え、いいんですか?最近は結構ライブハウスのチケットも早めに売り終えるって聞きますけど」
「ふっふっふー。ちゃんと私達の関係者として席はとってあるから無問題だよ!」
「なら、参加しようかな。最近はYouTubeに上げる動画もどうしようか悩んでたんで」
「ライブの様子も上げる?」
「そうですね。盛り上がってるところをいい感じに編集したらさらに認知度も上げれそうなので。あとは来れなかった人も少しはライブに参加できた感じがしますし」
「よしっ!じゃあ、けってーい!!」
そう言って先輩は俺に一枚チケットを手渡した。書かれた日付は明後日。
「忘れずに来てね」
先輩は可愛らしくウインクをしながら俺にそう伝えると、次の焼き鳥にまた手を伸ばすのだった。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は19日です。