第253話
第253話です。
バイトが終わって夜の道を1人ほっつき歩きながら帰る。
時刻は夜中の10時で、人もまばら。
焼き鳥のまかない料理の代わりとして持たされたプラスチックトレーの中にあるねぎまとももをそれぞれ四本ずつ。そのうちの一本を手に持ちながら、俺は食べ歩きの形でパクパクと食べていた。
本当は家に帰ってから食べるのがいいのだが、何せバイト中はずっと美味しそうな料理と匂いに囲まれるのだ。おかげでずっとお腹が減っていて、さすがに耐えることが出来なかった。
「うま……」
独り言のように呟いていると、後ろから足跡が聞こえてくる。誰か通り過ぎるのかと思って俺は少し左に寄れて道を開けた。するとその足音は俺の右まで来ると同じ歩幅で歩き出す。
「こんばんは、後輩くん」
「んあ、先輩。こんばんは」
隣に立っていたのは自主練帰りの先輩だった。背中にはギターケースを担いでいる。
「美味しそうだねそれ」
「あ、いります?沢山ありますよ」
そう言いながらトレーの入ったビニール袋を開いて中身を見せた。
「お、本当だ。後輩くんはどっちがおすすめ?」
「店の一番人気はももの焼き鳥ですけど、個人的にはねぎまが一番好きです」
「へ〜。ならねぎまにしよう」
先輩に俺はねぎまの串を手渡す。それを受け取った先輩は嬉しそうな顔をしながら「ありがと」と言って、美味しそうにぱくついた。
「んふふ〜、美味し」
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は17日です。