第24話
第24話です。短いです。
「それでまぁ東京に一回行く時に後輩くんを連れていく理由なんだけどね」
少し間を空けてから先輩は理由の方を話し始めた。
確かに俺にとってはどちらかと言うとこちらの方が大切だし、何よりわけも知らずに高い交通費を出すのは気が引ける。
「後輩くんには私のボディガードをしてもらおうと思うのですよ」
「え?」
「だから、ボディガードだよ!」
「はぁ」
何を言っているのかよく分からないと言ったふうにそう返すと先輩は「はぁ」と一つため息をつき、また話し始めた。
「ほら、後輩くんもご存知の通り私って可愛いでしょ?裏では三大美女の一角なんて言われてるみたいだし。確か1人は後輩くんと同じクラスだったよねぇ」
「確かに言われてますけど、にしてもボディガード必要ですか?」
そう返せば先輩にむっとした表情で見られた。
「後輩くん、東京だよ?こんな田舎よりも、チャラチャラしたろくでもない男がウジャウジャいる場所だよ?そんな所に私一人で行ったらしつこく話しかけられちゃう!」
「あはは……途中偏見の塊みたいな部分はありましたけど、まぁ、確かにナンパはされるかもですね」
「でしょ?だから後輩くんの力が必要なのだよ!」
そう言って差し出される右手。
「だから、一緒に来てくれるかい?」
「はぁ」
額を少し掻きながら俺は息を吐くと先輩の右手を取る。
「分かりましたよ。先輩がナンパされて変な男に捕まるのも嫌ですからね」
「うん、それでこそ後輩くんだ!」
太陽の様に底抜けに明るい笑顔を浮かべ、先輩は笑った。
これは俺が先輩の夢の手助けをする物語。
手助けして必ず成功させる、そんな物語。
理想と夢は違う。今先輩の中にあるのは理想だ。明確に自身の将来像を描き出し、切り出し、組み立てる。今はその描き出しの段階。そして俺はそこまでしか手伝えない。だから、ここに全力を注ぐのだ。
鮮やかに鮮明に、先輩が切り出しやすいように。
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