第249話
第249話です。
新居に積み込んだ新しいベッド。その新品がゆえの素晴らしいスプリング性を体全部で堪能しながら俺は片手にスマホを持ってバイトを探す。
結局お昼の段階では特にバイト募集の張り紙等などは見当たらなかったのだ。まぁ、そう都合よくもいくまい。とにかく今は自分に出来ることを!と思いながら俺は自分に合いそうな所を高速スワイプしながら眺める。
と言ってもこの時期はバイトの入れ替わりが激しい。新社会人としてバイトを辞めた空きに、俺のように新しく大学生としての生活を始める学生がどんどんと入って埋まっていくのだ。つい先程まで募集してたところが1時間後には締め切ってる、なんてこともザラ。だからなのか、俺にピッタリどころかそもそものバイト募集が見当たりさえしない。
「まぁじか……」
一応家賃や仕送り等は両親にしてもらえるが、普通に社会勉強としてバイトは経験しておきたいのだ。それにあくまで仕送りは生活や学費に関する面だけ。例えば何か娯楽商品や服といったものが欲しいなら、自分で稼がないといけないという約束なのだ。ゆえに働かないという選択肢は無い。
「……いや、にしても無さすぎる」
一抹の不安を覚えた俺は時間を確認してから先輩に電話する。3コールほど鳴ってから、先輩は出てくれた。
「すみません先輩。夜分遅くに」
「ううん、大丈夫だよ。それよか何かあったの?水道破裂?」
「あ、いえそんな物騒な事には"まだ"なってませんよ」
「まだって言葉に引っかかるけど……そこはいいや。それで真の目的は?」
向こう側から俺のボケにも軽くツッコミを入れてくれるのでありがたいと思いつつ、俺は本題に入る。
「先輩がどこかでバイト募集をしてる場所知らないかなぁって思いまして。探したんですけど、ちょっとこの辺は全然ないんですよ」
「なるほど。うーん、私が知ってるところかぁ……あんまり多くないけど、私達が使うスタジオの上にある焼き鳥屋さんなら募集してたの見たよ。自営業だからなのかは分からないけど、特にネット掲載はしてないって前に3人で行った時に店主のおっちゃんが教えてくれたよ」
「焼き鳥屋ですか」
「そうそう。主にオーダーとか配膳だってさ」
「なるほど」
これはいいことを聞いたと思いつつ、俺は先輩に礼を伝えると「おやすみなさい」と最後に残して俺は電話を切った。
もしかしたら埋まってるかもしれないが、明日の朝すぐに必要書類を用意して駆け込んでみるか。
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