第243話
第243話です。
目を覚ますと見慣れない天井。そしてなんだかフローラルのいい香りがする部屋に横たわっていた。今くるまっている布団も自分のものではなく、見た目は真新しい。
そういえば東京に引っ越してきたのだった、ということを思い出しながら俺はゆっくりと体を起こした。ぐるっと周りを見渡して何だか違和感を感じる。果たして引越したての部屋がこんなに生活感溢れるものだったろうか、ということ。
しばしの時を置いて、俺は自分の左手に慣れない温もりをふと感じた。
左向け左の要領で俺は首を90度横に、そして斜め下に約60度ほど動かす。するとその視線の先には見慣れた、それはそれは見なれた可愛らしいものがあった。
そう、それは先輩の寝顔だ。
俺の左手をギュッと握りしめながら静かに寝ている。
さて、ここで1つ質問だ。俺は昨日の夜自分の家ではなく、先輩のうちに泊まった、ということまでは思い出した。故にこの溢れる生活感も理解できる。しかし、先輩はベッドの上で寝ていたはずなのだ。にもかかわらず、床に敷いた布団で寝る俺の横に並んで寝ていた、というのが今の現状。
ふむ、寝てる時に落っこちちゃったのかな!うん!そういう事にしとこ!
結果俺は考えることをやめた。
正直、今の俺の知能指数はパッパラパーと言っても差し支えない。何も考えれないし、もはや考えるつもりも毛頭ない。
只今はひたすら、先輩のこの可愛い寝顔を記憶のフォルダーに残すことに集中するのだ。
「はぁ……ため息が出るくらい可愛いって何なんだよもう……」
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は25日です。