第242話
第242話です。
お風呂には自分の家で既に入ってきているので、先輩の家では寝るだけだ。だから先輩の家を訪れる際に着ていた服も非常にラフなものとなっている。
部屋は暗転していて、布団の中で時折寝返ったりする時のモゾモゾとした音だけが部屋に寂しく響いていた。
「ねぇ、まだ起きてる?」
「起きてます」
「そっか」
その後に何か言葉を続けるのかと思ったがどうやら違ったらしい。
部屋にはまた静かな空気が立ちこめる。
寝返りの音と呼吸をする音。
時々外から聞こえてくる車の走るエンジン音。
どれも普段から聞こえてきてもおかしなものではないのに、今日だけは不思議と特別に聞こえる。
「先輩、起きてますか?」
「起きてるよ」
「そうですか」
先程の仕返し、とは違うかもしれないが、俺は先輩と同じ事をしてみた。
それに対する先輩の反応は……特に無い。無いのか。何かあると思ってたんだけどな。
なんて事を考えながら俺はスっと目を閉じる。カーテンの隙間から僅かに入ってきていた街灯の光も見えなくなり、俺に見える世界は完全な暗黒と化した。
感じるのは柔らかな暖かい温もりだけ。
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