第241話
第241話です。
夜になって俺は最低限の荷物だけを持ち、先輩の家に訪れた。
「お邪魔します」
「はいどうぞ〜。上がって奥のソファにでも座っててね」
そう言いながら先輩はパタパタとキッチンの方に行ってしまった。俺は恐る恐ると言った足取りでリビングに入り、先輩に言われたソファに座る。先輩も引っ越してきて間も無いせいか、部屋の隅々には新品といった香りが残っていた。
なんだか緊張と同時に親近感が湧きまくって感情が変になりそう。
高校時代は先輩とご近所さんという訳では無かったので、この新たな関係にはドギマギしつつも嬉しさの方を俺は覚える。もしかしたら朝もよく会えるかもしれないし、それに大学生は高校生とは違って比較的時間が自由に使える。だからこそ、たまには勇気を出してデートに誘ってみたりするのもいいのかもしれない。
なんて、自分に都合のいい楽しそうな未来を妄想するのも、また個人に許された特権だ。
「ミルクティなんだけどいいかな」
そう言いながら両手にマグカップを持って俺の隣に座る先輩。微かにシャンプーのいい香りが鼻孔をくすぐる。
「ありがとうございます」
両手で受け取りながらほんのりと温かいミルクティに口をつけた。含んだ瞬間に甘い味わいが口いっぱいに広がり、思わず微笑んでしまう。
人の感情は表情に出やすいのだ。
ちらりと横を見ると先輩も微笑んでおり、やっぱり可愛いななんて思ったりする。
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