第238話
第238話です。
3月半ば。
俺は高校の卒業式を終え、荷物をまとめていた。大量に部屋に散らばる段ボール箱。その中に荷物を仕分けながらしまっていく。
机周りの機材や本といったものは重量がかさむので他のものよりも丈夫なものを使用する。服は1枚1枚は軽いが量が多いのでこちらは大きい段ボールだ。
それぞれのダンボールに何を入れるのか予めペンで書いてあるので仕分け自体は楽。そしておそらく向こうに着いてからの荷物出しもまだ楽に済みそうだ。
あちらに着いてからすぐに大学が始まるわけではないので、俺は向こうでのなんとなくの生活リズムを作らなければならない。バイトも探さないといけないし、何より近所の1番安いスーパーもある程度把握しないといけない。あとはコンビニとかな。
向こうでは親の力が仕送りだけとなり、その他は自分で管理しなければならないのだ。だからこそ、この少しの期間をどれだけ有効に扱えるのかが今後の生活を左右する。
と言っても、俺の引っ越す予定のマンションからほど近い位置に建つマンションに先輩達は住んでいるらしいけれど。これは別に示し合わせた訳ではなく、単なる偶然だ。俺は大学へのアクセス面を考えてこの立地を選んだ訳だが、どうやら先輩達はスタジオが近くにあったからという理由で決めた場所が俺のマンションと近いと言うだけだったらしい。
先輩に住所を聞かれた際に答えたらたいそう驚かれたものだ。なんなら俺も驚いたが。
兎にも角にも、俺は1人ではない。近くには俺の慕う先輩達がいる。だから、不安があるわけではない。むしろ少し楽しみでさえある。
「これからは自分の人生を……って感じだな」
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