第237話
第237話です。
私達の私物の入った段ボールを載せたトラックが東京に向かって走り出した。
エンジン音を響かせながら走り去っていくトラックの背を眺めながら私は「よしっ」と呟くと、後ろに立っているアスナちゃんとメグさんの方を向く。
「さて、それじゃあ私達も新幹線に乗って東京に向かいますか」
私の言葉に頷く2人を見てから、私達は新大阪に向かう。
◆◇◆◇
東京に行くのはこれで2回目だ。
1回目は後輩くんと東京に行った時。そして今回の2回目だ。
元々は初めから東京にて活動する予定だったのが、メグさんとアスナちゃんとの出会いで少し変わり最初は大阪で活動することとなった。
メグさんからの連絡が無ければ今頃はきっと1人で東京の荒波に揉まれていたことだろう。
人の出会いは数奇なものだ。とても低い確率の中で成り立っている。だからこそ尊いとも思えるし、大切にしたいとも思えるのだ。
「ねぇ、今回はシェアハウスじゃなく皆1人暮らしだけど、何か不安なことってある?」
そう尋ねるとアスナちゃんが笑いながら答えてくれた。
「別に無いですよ。私は元々1人暮しだったし、それに私達の部屋隣同士じゃないですか」
そう、1人暮らしとはあくまで形式の話。マンションの隣の部屋に自分の知り合い、身内が住むとなるとそれは実質シェアハウスと何ら変わりないのだ。
「困ったことがあればすぐ駆けつけれますし、むしろ下手な1人暮らしよりも安全で、なおかつプライベートもしっかり守られてる最高の環境だと思いますよ」
「だね」
私達は笑いながら言葉を交わす。
そう、これからはメンバーとして、そしてご近所さんとしても2人とはよろしくするのだ。
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