第236話
第236話です。
終わってみると早いもので、俺はただひたすらに自堕落な生活を送っていた。という妄想をしていた。
実際は自堕落な生活なんてしていられなかった。入学手続きやら東京の物件を探すためにまた東京に新幹線で移動したりなど、短スパンで忙しくまた手の抜けない大事な予定が一気に入ったのだ。おかげで俺は常に頭を抱えて生活している。
「もっと楽な生活が待ってると思ったのに……」
パソコンを開いて一時の休息を取りつつ、俺は深くため息をついた。
にしても東京の新しい家。思ったよりも良さげな場所がまだ残っていて意外だった。こういうのって早い者勝ちだから地方住みの俺よりも東京周辺に住む学生に取られてそうなものだけど、今回は結構運が良かったのだろう。
なんと今回の物件、駅まで徒歩20分で着くのだ。素晴らしいだろう。今住んでいるこの家からだと平気で30分以上掛かるのに、それよりも短いのだ。それに加えて駅周辺が発展していると来た。俺の現在の最寄り駅周辺はコンビニがポツンと建っている程度なので、その点を比べても明らかな違いに気が付くだろう。
「ほんと、運良かったなぁ」
まぁ、こんなに俺は絶賛している訳だが、生まれてこれまで都会にずっと住む人からすれば俺のこの感想は正気かと疑いたくなるようなものばかりだろう。「駅まで20分!?遠っ!?」とか言われてもおかしくはない。俺は20分くらい歩けドアホとツッコミたくなるけれど。
まぁ、とにかくそんなこんなで忙しくも色々と新生活に向けた準備を進めているわけだ。
そしてそれは先輩達も同じく。
俺と同い年のアスナさんがもうすぐ卒業ということで、あちらも3人で東京に物件を見に行ったりしたそうだ。アスナさんは家が元々太いのでご両親がマンションの部屋くらい用意してくれると言ってくれていたらしいが、「自立したいから」とアスナさんはそれを断ったらしい。ただし初期費用だけは頼んだみたいだけれど。
けれど、俺はそれでも立派だと思う。どうにも学生のみとなるとバイトのシフトに限界が来るので稼げるお金にも限界がある。ゆえに親に頼らなければならないところも多々あるのだ。その点、初期費用以降を自分で賄おうとするアスナさんには頭が上がらない。
「ほんと、凄いよなぁ」
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