第232話
第232話です。
自分にはよく頑張りましたと伝えたいところだな。
丸一日時間をかけて行う試験を終えて帰りの新幹線に乗る今、そう切実に思う。耳に差したイヤホンからはChatnoirの曲がYouTubeのバックグラウンド越しに流れていた。
受けた感じ、手応えは割と良い。過去問と同じものもあれば、予想を張っていたところがドンピシャで出たりとかなり運が良かった。それに俺の得意分野が多く出題されたのもラッキーな点だろう。
いやはや、まだ合格発表が出たわけではないが、ひとまず完全に肩の荷が降りたということで3日間くらいはゆっくりさせてもらいたい。先輩からも「ゆっくりした前!」というメッセージを受け取ったし、ここは思い切り休んでやろう。あ、もしくは先輩達の所に遊びに行くのもいいかもしれない。どうせ時間には余裕があるのだ。他の大学は共通テスト利用で受けるし、俺の受験自体は終了したのだから。
縛りから解放されたことによる自由から俺は戻ってから何をしようかという事ばかり考えていた。本当は帰りの新幹線ではゆっくり寝るつもりだったのだが、その事を考えると楽しくて寝れそうにない。
◆◇◆◇
京弥の受験が今日終わったらしい。私は推薦を受けたわけでも一般受験した訳でもなく、ただバンドを続けるという選択肢をとった珍しいタイプなので受験勉強の大変さは分からない。しかし、あれだけ頑張っていた京弥の事はちゃんと労ってあげようかと思うのだ。
京弥とのトーク画面を開いて私はシンプルなメッセージを送る。
『受験おつかれ』
たったこれだけだが、それでも無いよりかは格段にマシだろう。
人からの労いは偉大なのだ。私だってバイト先やバンド練習の時でも、オーナーやカオリさん達にお疲れ様と言って貰えると、それだけでこれまでの自分が肯定されたみたいに心が楽になる。
あ、既読付いた。
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