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第225話

第225話です。

 とまぁ、過去を振り返るには丁度いい曲なのだ。進んで振り返りたい記憶というわけじゃないが、けれどあれは確実に私が関与した記憶の一つでもあるわけなので、思い出す手段くらいあったっていいだろう。

 「鋭利な恋心」を叩きながら私は段々と無心になってくる。集中力が高まっている証拠だ。私は基本楽譜を先に読み込んで覚えるので、集中し始めたら何も考えずに叩けるようになる。こうなってくるとかなり調子が上がって、気付けば何時間も叩いていたなんてことはザラだ。

 おそらく、私の一番の武器はこの集中力なのだろう。アスナさんに時々技術の向上の度合い凄いと褒められるが、きっとそれもこの集中力のおかげ。一度熱が入るとなかなか冷めないような性格だったのが幸いしただけの事だ。

 一曲叩き終えてから私はスティックを置く。さすがに今日は何回も叩いていられない。


「今日は私が晩ご飯当番……なんだよね」


 料理が出来ないわけではないが、別に得意というわけでもない。一緒に住むカオリさんや他のみんなは美味しいと言ってくれるが、それも気を遣わせてしまっているのではないのかと時々心配にもなるのだ。だから、当番の日はあまり好きじゃない。もっと自分に自信があればいいのだけど、生憎と私はそんなにポジティブな性格じゃないし。

 自分でそんな事を考えていると思わずため息が出てしまう。自らネガティブに一直線に進んでどうするのだ。

 舵を取り直しながら私は自室を出てキッチンに向かう。カオリさんはどうやらまだ帰宅していないらしいが、他の2人は共有スペースでスマホを触ったりとまったりしていた。


「ご飯……作りますので少し待っててください」


 そう言ってから私はエプロンを身に付けた。大阪に出てくる時に買った黒い安めのエプロン。安いけれど耐久性はなかなかのもので、私は気に入っていたりもする。

 冷蔵庫から野菜とお肉を取りだして手に包丁を握る。サッと野菜を水洗いしてからザクザクと切り分けてザルに突っ込むと次の工程に移るなりして、作業を黙々と進めた。

 カオリさんが帰宅する頃にはいい匂いが部屋に満ち始める。


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は20日です。

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