第196話
第196話です。
「カオリさん。何かバンドのオーディションがあるみたいなんですけど、それに出ませんか?」
3人で練習していると、休憩中にアスナちゃんからそう提案された。
「オーディション?」
「です。メジャーデビュー出来るやつですね」
「それは誰でも参加可能なやつなの?」
尋ねるとアスナちゃんはスマホの画面をスワイプして募集要項を確認してから、こくりと頷く。
「18歳以上なら誰でもいいらしいです」
「アスナちゃんの年齢は?」
「1週間前に誕生日祝ってくれたじゃないですか」
「あ、ほんとだ」
つまり、メンバー全員18歳以上ということだ。
「何か他にしないといけない事ってある?」
「えーとですね、1次審査でデモテープを送らないといけない事ですかね。そこで合格しないと、色んなバンドの集まる2次審査には行けないみたいです」
「なるほど。そのデモテープに条件ってある?」
再度そう尋ねる私。自分で調べてもいいかと思ったが、アスナちゃんがすぐに動いてくれるので、つい甘えてしまう。
「オリジナル曲限定ですね。2曲必要みたいです」
「なるほど」
「ChatnoirにはSTART Again!!!と花火があるし大丈夫じゃないですか?」
アスナちゃんはそう言うと私の顔を見た。メグさんは私達の顔を交互に眺めている。
「うーん、確かにそれでもいいけど、あと何曲かあった方が向こうの急な無茶振りにも対応出来るしなぁ。……よしっ、あと2曲!私頑張って作るよ」
「まじですか」
「まじですよ!」
「じゃあ1次審査はひとまずSTART Again!!!と花火にするとして、2次審査に残った場合、その本番2ヶ月後ですけど間に合います?」
そう言われて私は思わずピシッと固まってしまう。
私は正直に言うと歌詞を書くのにかなり時間がかかる。1ヶ月かけて1曲の歌詞が書き終わるかどうかだ。それを2曲分。プラス作曲も含めるとなると、正直間に合うのか分からない。……が、やらないことには始まらない。
「やってみるよ……いや!やってみせるよ!」
私は防音のよく効いた部屋でそう高らかに宣言するのだった。
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