第194話
第194話です。
「それじゃあ後輩くん!学校頑張ってね!」
「はい、できるだけ頑張ります」
「サボりのプロフェッショナルとして、また新たに来るやもしれない後輩の子をちゃんと導くんだよ!」
「それは……まぁ、ほどほどに」
「えへへ〜。それじゃあね〜」
先輩は手を振りながら俺にそう別れを告げた。今すぐ先輩がどこか遠くに行くわけではない。けれど、すぐには会えないような気がして。
俺は俺の道を進む。先輩の進む道に合流できるように、俺は頑張って自分の道を進むのだ。
◆◇◆◇
肌寒い季節を超えて、学校までの道を白桃色の花びらが覆い尽くす。
迎えた4月。先輩は少し前にここを去っていった。
会おうと思えば会える距離。けれど、決して近くはない。今の俺と先輩を繋いでくれているのは、お互いの目標と、俺が無理を言って先輩から貰ったギターのピック。それに少し手を加えてカバンに着けているのだ。
1人で登校してから校門にて配布されていたクラス分け表を見る。
「……5組か」
プリントを折り畳んでポケットにしまいながら教室に向かう。学年が上がる毎に教室の階数も下がるのは何故なのか。屋上までが遠くて少し嫌だ。
「やぁ!碧染くん!」
後ろから唐突に声を掛けられる。振り返るとそこには少し髪の伸びた利根里さんが立っていた。
「今年も同じクラスだね」
「みたいだね」
「嬉しいかい?」
「ほどほどに」
「おぉ!すんごく微妙な反応で私は困っちゃうよ!」
ケラケラと笑いながら利根里さんは俺の横を歩く。同じ速度でゆっくりと教室を目指しながら。
ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は19日です。