第190話
第190話です。
先輩の言葉の真意は分からないまま、俺の中でなんとなく志望校を東京の方にしようという感覚が生まれていた。あっさりと影響されているところを見ると、俺にとって先輩の存在が本当に大きいことがすぐに分かる。
まぁ、そもそも2年のこの時期であれば、そろそろ大学の事について考え始めていてもおかしくはないのだけれども。
俺は帰宅してからパソコンをすぐに開く。そして東京の大学と打ち込んで検索にかけた。色々と候補が出てくるが、これだけ少ない情報だと東大とか早稲田とか名門難関校しか出てこない。俺にとっては雲の上のような存在の大学。
俺は仕方がなくもう少しだけ情報を増やして調べることにする。
私立の文系。偏差値は60であとは交通の便の良さ等だ。
調べてから1秒も経たぬうちに候補が幾つも出された。見てみると名前を聞いたことがある大学もあれば、初めてなところも多数。それよりも、これに該当する大学の多さに俺はまず驚く。
これだけあればかなりの選択肢があるではないか。
俺は1人ほくそ笑みながら自分に合いそうな学科の大学を探すことにしたのだ。
◆◇◆◇
練習を重ねる毎にカオリさんの実力の上昇する幅には驚かされる。生来持ち合わせたセンスもかなり大きいのだろうが、京弥曰く相当練習しているらしいし、その努力の成果なのだろう。
ゲーミングチェアに深く腰かけてコーラをチューっとストローで飲みながら私はそう思う。
私と言えば元々の実力から少し上手くなった程度だろうか。ゲームの経験値みたく、レベルアップを重ねる毎に次のレベルまでが長くなっていくのだ。きっと私は今それになっているのだ。こればっかりはどうしようもないし、経験値ブーストのようなタイミングが来るまで待つしかない。
ベースを取って弦の調整をした後に私はヘッドホンを繋いで軽く爪弾く。基本的には『START Again!!!』と先輩がソロで弾いていたという『花火』を弾くことにしている。こうやって普段からオリジナル曲の練習をしておけば、いざと言う時には自然と指が動くからいいのだ。まぁ、まだそのいざというタイミングは来ていないのだけれど。
「明日の学校は……休むか」
夜更かし予定の設定をしてから、私はまたベースを触る。うちには天才ドラマーもいるから、置いて行かれる訳には決していかないのだ。影での努力で何とかしがみつく。きっと私にはそのスタイルが一番合っている。
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