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第18話

第18話

碧染(あおぞめ)くんはどうだった?」


 そう聞かれてすぐに「楽しかった」と返すことは俺には出来なかった。楽しくなかった訳ではない。むしろ楽しすぎたまである。だけど、それでも楽しかったとはすぐには言えなかった。

 頭の中でずっと別の事を考えていたから。

 遊ぶ事は頭の中の事の二の次だと考えていたから。

 だから、上辺だけで「楽しかった」などとは決して言えない。


「そうだな、久しぶりに息抜き出来た気がするよ」

「息抜き?」

「うん。ここ最近はずっと進路の事について考えないといけなかったからさ。頭の中がオーバーヒートしかけだったし、丁度いいクールダウンになったと思う」


 嘘は言っていない。実際進路について沢山考えていたし、ストレスで少し疲れが溜まりつつあったのも事実だ。だから、息抜きという点においては何も嘘は言っていない。


「息抜きかぁ〜。私的には楽しかったーって言ってもらいたかったけど、まぁ、それは碧染くんの感じ方次第だしね」

「それは、ごめん」

「ううん全然。私も息抜き出来たことには違いないしね♪」


 両手でピースサインを作り、カニのハサミように動かしながら利根里さんはそう言った。


「にしても、進路かぁ。考えたくないなぁ」


 黒に染った空を見上げながら利根里さんはそう言った。表情は周りの明かりに顔が照らされていてよく見える。


「何か悩んでるの?」

「うん、まぁ、ちょっとね」


 利根里さんはにへらと笑いながらこちらを見た。


「私って何になりたいのかな?」



◆◇◆◇



 帰りの電車の中。ガタンゴトンと車輪を鳴らしながら俺達は街から帰っていた。

 隣に座る利根里さんはこくりこくりと船を漕ぎ始めている。


「寝ててもいいよ?着く前に起こすから」

「……ごめんねぇ」


 利根里さんはそう言いながら「すー」と寝息を立て始めた。

 しばらくすると肩に少し重みがのしかかる。


「ん?」


 首を少しひねりながら隣を見てみると、まぶたを綺麗に閉じて呼吸に合わせて体を小さく上下に動かす利根里さんが見えた。

 桜色のぷるんとした唇がなんとも艶かしい。


(素……見せ過ぎだろ……)


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は4日です。

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