第179話
第179話です。
文化祭の1日目が終了した。
私は今、校舎裏にある人気の少ないベンチに腰かけている。隣には碧染くんを伴って。
お互いの手には缶コーヒーが握られていて、少しの間それを振ったり、成分表を眺めたりして遊んでいた。
ただずっとこうしていても埒が明かない。
私は本題に入るべく、話し始める。
「それで、結局赤坂先輩とはどういったご関係?さっきも一度聞いたけど、念の為ね」
「分かってる。そうだなぁ、一言で説明するなら表と裏なのかな」
「舞台に立つ方と、そのサポートって事で間違いないよね?」
「うん。その通り」
こくりと頷きながら碧染くんは肯定する。
表に立ち、バンドとしてあの2人と一緒に活動する先輩と、それを支える碧染くん。
「何がきっかけで碧染くんは赤坂先輩と関わり始めたの?」
「きっかけ……というか成行の方が近い気がするんだけど。まぁ……お互いにサボり魔だったからね。サボり魔同士の縁というか何と言うか」
「やっぱり先輩も本当にサボり魔だったのかぁ」
「うん。俺よりもベテランサボり魔だったよ」
ケラりと笑いながら碧染くんはコーヒーの缶を呷る。
辺りにはほんのりと香ばしいコーヒーの香りが漂い、私もその香りにつられるようにして、缶のプルタブを開けた。
くぴりと口に含んで舌の上で転がす。
うん。苦い。けど……癖になる。
「私もサボり魔になれば、碧染くん達みたくなれるのかな」
「さぁ、それは分からないよ」
「じゃあ試してみようかな」
「それは……あんまりおすすめしないけどね。勉強がしんどいからさ」
そう言ってまたケラりと碧染くんは笑う。
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