第178話
第178話です。
あの4人と別れてから私は1人構内を歩く。
なんとなくだが、1人になりたかったのだ。
私の歩くこの校舎は文化祭の会場としては使用されておらず、ガランとしていて静かなところ。
耳に入る音は私の足音くらいなもので、1人になるのにはちょうど良かった。
ライブが終わってからのあの4人の姿。碧染くんを含めて、一つのグループになっていたように見えた。
碧染くんは自分はバンドのメンバーではないと言うけれど、それでもやはりメンバーにしか見えない。というか、あの3人が碧染くんの事をちゃんと大切なメンバーの1人として見ている。あの3人に大切にされているのだ。
「ああいうのを、仲間って言うのかな〜」
私は自分に無いものを遠くから眺めている。
ただ眺めるしか出来なくて、私にはどうやっても手に入れることは出来ない。
そもそも、あんなに運命的に引き寄せられたような4人のような人を見つけられる気がしないのだ。
「羨まし……」
所詮はただのないものねだり。
ないものねだりは自分の中で完結させるのが一番。
私は私できっと何か出来るはず。慣れるはず。
そう信じてあげないことには、何も始まらない気がした。
そうだな。ひとまずお得意の絵でも練習してみようか。これでも中学の時は賞をいくつも取っているのだ。それに今でも授業で美術の選択をしている。本格的なスキル上げ、レベル上げでもしてみてもいいのかもしれない。
私が彼等に並び立つには、きっとそれくらいは易々とこなさないといけない事だろうから。
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