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第177話
第177話です。
「えっと、君は利根里さん……だったかな?」
赤坂先輩が碧染くんの後ろに立つ私の方を覗くようにしてそう尋ねてきた。
「はいっ、と、利根里莉央ですっ!」
構内でも一番と言っていいほどの知名度を誇る赤坂先輩に名前を覚えられていたのだ。私の心臓がキュッと縮まるような気持ちになった。
「君もライブ聴いてくれてたね!どうだったかな?」
「は、はいっ!物凄くかっこよかったです!」
想像をしていた数十倍のクオリティで見た演奏。私の心臓はずっと聞いていた時からずっとバクバクと興奮で早鐘を打ち続けていたのだ。
「そっかそっかぁー!こうやって生でカッコよかったって言われると嬉しいね〜」
「本当に嬉しそうだ」
碧染くんはぽそりとそう呟くと「ふはっ」と笑った。
あれ、おかしいな。演奏を聞いた時もかなりの胸が早鐘を打っていたが、こうやって碧染くんの横顔を見ると、比べ物にならないくらいに心臓が早く強く打ち付ける。
おかしいなぁ。
なんて、知らないフリをしてみたりするけど。
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