第169話
第169話です。
間違いない。あれは赤坂先輩だ。一つ上の学年で、抜群の美貌を誇る我が校トップレベルの美人。ただサボり癖があり、学校の授業は時々抜けている事もあるという、真面目な人でないところも人気に拍車をかけている要因だ。
しかし、その赤坂先輩がなぜ碧染くんと一緒に?というかあの他の2人ともどういう関係性なのだろうか。さっきメイド喫茶に来ていたのを見た感じ、友達というよりも仲間?と言う方がしっくりくるような関係性に見えたし。謎だ。
とにかく気になった私は4人の後をつけるようにした。
4人は仲良さげに話しながら、校舎の中をプラプラと歩いている。おそらくどこか目的地がある訳ではないのだろう。そうでなければあんなに色々なクラスの看板に惹き付けられてから離れてまた歩き始めることなどしない。魅力を感じたなら今日は遠慮せずに行くべき日なのだから。
うむむ……このままだと私の休憩時間が尾行に全て使って無くなってしまうぞい。
内心一抹の焦りを感じ始めながら、結局私は尾行を続ける。どちらにせよ暇なのだ。それに一緒に回る友達も今はいないし。何でみんなシフト時間が違うのだよ……。
ともかくだ。暇なら暇なりに気になった事に使うのがいい。
自分の中でそう結論づけると私はジーッと4人の背中を見つめる。見た感じ一番背の低い銀髪の子が碧染くんとよく話している。赤坂先輩も碧染くんとよく話はするが、どちらかと言うともう1人のクールな女の人に話している印象。
これを整理するに、私が要注意すべき相手はあの小さな子なのだろうか?ただあの2人と違って赤坂先輩と碧染くんは同じ高校の生徒だ。となると、あの2人よりも先に碧染くんは先輩と関わりを持った可能性が高い。つまり……本命の要注意人物は赤坂先輩ってこと!?やばぁ……。
額に冷汗をかきながら私は焦りに焦る。いくらなんでも赤坂先輩は少々強過ぎる。先程も言ったが彼女はこの高校で一番の美貌を誇っているのだ。私も裏では赤坂先輩と並んでると言われているらしいが、並んでると言われる当の私からするとそういう次元の相手じゃない気がするのだよ。勝つ負けるじゃなくて、戦わないのが一番最良な選択肢であるとさえ思ってしまうくらい。
「これは……やばばだよねぇ」
そう呟きながら私は一つ息をついてもう一度前を見据えた。
そう簡単に諦められないのが恋心。
私は真っ向から立ち向かってやるのだよ。
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