第168話
第168話です。
先輩達が今日弾く曲を三曲ほど合わせた後に、『START Again!!!』の練習を始める。何度聴いてもこの曲の完成度には驚かされてしまうばかりだ。
最近ではSNSにもあの文化祭での演奏の様子が載せられていて、演奏者である3人の顔までは識別出来ずとも、ハイクオリティな演奏と歌声で十分魅了されるものとなっていた。そしてそこにこの3人の美貌が加わるということを考えると、なるほど。とてつもないことになるな。
「ふぅ〜。いや〜、やっぱりこうやってみんなで弾くの楽しいね」
「ですね」
先輩の声にはアスナさんが返す。メグさんは無言で頑張って頷いていた。ちらりと俺の方を先輩は最後に見てきたので俺も「そうですね」と返すと、にかっと笑顔を向けられる。
「さてさて、合わせた感じみんな大丈夫そうだし、時間までもう少しゆっくりする?」
「私は別にいいですけど、メグさんは?」
「わ、私も、はい」
「おっけー。後輩くんも一緒に行くかい?」
「迷惑でなければ」
そう伝えると先輩は嬉しそうに笑うのだ。そんな笑顔を見せられるとこちらまで嬉しくなってくる。
◆◇◆◇
シフトにお休みを貰った私はメイド服を脱いで文化祭専用のTシャツに着替える。黒基調に背中に白文字で『叫べ!』とプリントされた中々男らしいデザインのもの。私は嫌いではないのだが、女子からは可愛くないとチラホラ不評の声も上がったらしい。
うーん、確かに可愛くはないね。けど、文化祭のテンションを考えたらこれくらいのデザインの方が気分が上がっていいと思うんだけどなぁ。
そう思いながら私は適当に目的地も決めずに歩く。
どこを歩いても常に宣伝の札や看板に溢れていて、目が回ってしまいそうだ。
休憩がてら1年生のクラスがやっているレモネード店でレモネードを一つ買った。カップに刺されたストローでチューっと淡い金色のレモネードを飲む。ほんのりとした酸味に甘みが広がって、すっかりと回ってしまった目も元通りになった。
ふふっ、これこそ青春の味!
などと1人寂しく文化祭を周りながら考えていると、奥の階段から見知った顔が出てくる。そしてその後ろからは先程私のクラスで見た2人と……。
「赤坂先輩……?」
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