第165話
第165話です。
いわゆる萌え萌えキュン的なやつなのだろうか。オムライスにケチャップでハートを描いたりするやつは。もしかして、こんなに恥ずかしいことを私は京弥にしていたのか。
目の前で行われるそれを見ながら私は自分の過去を振り返ってそう思う。
しかし、よくあの時はやり切ったなと思う。いや、こんなに恥ずかしいものだと気付かなかったからこそやり切れていたのだけれど。気付いてしまっていたらさすがに無理だ。
京弥にそんなところを見られていたのだと今更ながらに自覚してしまい、少し頬が熱くなった。
◇◆◇◆
やっとの事で私達はメイド喫茶を出れる。
「さ、京弥。早くカオリさんの所に連れて行きな」
「はいはい、ただいま」
2人の先導を再開すると、俺はいつも先輩と集まる屋上に連れていく。本来ならば他校の生徒、というかここの生徒でも入っては行けない場所なので、俺は誰にも見られないようにコソコソと階段を上がった。
上がりきったところにある金属製の重い扉に手をかけるとドアノブを引く。
ガチャりという音の後に屋上に足を踏み入れるとギターの音が聞こえてきた。くるりと見渡してベンチのところで視線を止める。そこには先輩が髪を風になびかせて座っていたのだ。
「先輩、連れてきましたよ」
「ご苦労さま〜」
俺はその言葉だけで、先輩の役に立てた事を素直に嬉しく思うのだった。
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