第163話
第163話です。
「あの……碧染くんとは知り合いなんですか?」
私は碧染くんが裏に回ったことによってできたこの空気を解すために、意を決してそう尋ねる。小柄な銀髪の彼女はスマホから目を離すとちらりとこちらを見た。
「そうだけど」
「あの、どういった経緯で知り合ったのかって教えて貰えたり出来ますか?」
「……知りたいの?」
「いや、まぁ興味があるというか」
興味は当然ある。何せ学校で他の人とほとんど絡むところを見ない碧染くんの知り合いなのだ。しかも校外の生徒で、かつ女の子。私としては少しばかりうかうかしていられない自体なのだ。それにこの2人、どちらも系統が違う可愛さを備えている。ゆえに、さらに危機感も感じているのだ。
「教えてもいいけど、別に面白くないよ?メイドさん」
「面白くなくてもいいので!」
「あっそ」
銀髪の彼女はそう言うとスマホをテーブルの上に置いて話し始めてくれた。もう1人のクールビューティの彼女は、こんな時でも黙ってコーヒーを優雅に飲んでいる。
「京弥とは私のバイト先で知り合った」
「バイト先?」
「そ。ライブハウスでバイトしてるんだけど、そこのオーナーに面白いやつらが来てるから来いって言われて。そこで出会ったのが京弥なんだよ」
碧染くんってライブとか見に行くんだ。初めて知った。
「いや、あいつはバンドの演奏を聞きに来たわけじゃなかったぞ」
「あれ、今心を読まれたような……」
「京弥達はどちらかと言うとステージに立つためにライブハウスがどんな所なのかを見に来たって言うのが正しいかもな」
「ステージに立つ?碧染くんって楽器するの?」
楽器云々に関しては本当に聞いた事が無い話だ。趣味でギターでもしているのだろうかとも思うが、それならば軽音部にでも所属するはずなのに彼は帰宅部だし。
「もっと正確に言うとあいつはサポート係だな」
「サポート?」
「あいつは美人な私達のバンドリーダーのサポートをしている。そのためにその先輩とこのメグさんと一緒にライブハウスに来たんだよ」
えっ……。先輩って誰。
碧染くんの知り合いの女の子は、先輩と呼ばれる彼女は一体誰なのか。先輩と言うからにはおそらくはこの学校の生徒。私も知っている可能性だって十分にある。だけど、碧染くんの交友関係はあまりにも未知で、私には想像の余地も無かった。
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