第159話
第159話です。
クラスの準備も程々にして、俺は屋上に急ぐ。
すれ違う生徒はみんな前日からの疲れと、本番を楽しみにする活き活きとした表情が混在したものとなっていた。
俺はそれを横目に見ながら階段を駆け上がると、扉を開く。
「お、来た来た」
すると待ち構えていたかのように先輩がすぐに出てきた。
「それで、用ってなんですか?」
「あーそうそう。後輩くんにアスナちゃんとメグさんの案内役をお願いしたくてね」
「はぁ」
「ほら、アスナちゃん一回文化祭回ってたみたいだし、それにメグさんとももっと関わって欲しいからね」
「分かりました。ちなみに2人はいつぐらいに来る予定ですか?」
そう尋ねると先輩はスマホを見てスケジュールを確認しだす。
「えーっとね、お昼から私達のライブがあるから、10時に来る感じらしいよ」
「なるほど。じゃあその辺で俺が校門辺りに迎えに行けばちょうどいい感じですかね」
「だね。頼める?」
「はい。それくらいなら全然」
首を縦に振りながら頼みを了承すると先輩はホッとした様な表情を見せる。俺が先輩からの頼みを断る理由も無いし、そもそも断る事をしない。
「じゃあそういう事で。何か連絡があればまたLINEしてきて下さい」
「うん。ありがとうね」
先輩からのお礼に少し気恥ずかしくなりながら「別にいいですよ……」と言って俺は足早に屋上から去る。
少し緩んだ頬がいけなかったのか、教室に戻るまでにすれ違った生徒が不思議そうな目をしてこちらを見てきていたが、俺は気にしない。というか気にしていられない。
傍から見れば文化祭に浮かれた生徒にしか見えないが、というかあながち間違いでもないが、それを踏まえても俺はどう見られたって気にしない。
今日はとにかく先輩達のライブ。これの成功をさせるのが優先だ。
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