第158話
第158話です。
朝の7時。
普段ならばまだ家でゆっくりと準備をしている時間帯なのだが、今日はもう既に学校に向かい始めていた。
文化祭の当日。クラスのメイド喫茶の準備をして、アスナさんとメグさんの対応を俺と先輩とでしないといけないので早めの登校なのだ。
学校付近ではちらほらと制服に身を包んだ生徒の姿が目撃される。寝不足なのか目の下にクマを作った男子や、手に資材を運び込んで最後の作業をする為の準備をしようとする生徒も見える。
「お、後輩くーん!おはよぉー!!」
学生の朝には似つかわしくない元気な声が後ろから響いてきた。田舎の静かな朝ではよく聞こえる。
振り返るとこちらに向かってタタタッと駆けて来る先輩の姿が視界に入った。珍しく今日はポニーテールにしていてかなり新鮮。
「おはようございます。朝から先輩は元気ですね」
「そりゃね!私達の高校でも演奏が出来るんだから、テンションアゲアゲだよ〜」
「まぁ、分からないでもないですけど」
と先輩には伝えたが、内心は俺も飛び上がりそうなほど先輩達の演奏を皆に聞かせれるのは嬉しい。この人の実力を全員に叩きつけれる絶好の機会なのだ。逃してはならないだろう。
「そういえばアスナさんとメグさんが前乗りしてるって聞いたんですけど、どこにいるか先輩知ってます?」
「あぁ、私のお家にいるよ〜」
「先輩の家?」
「うん。ここまでの経路は教えてるし、朝ご飯もお母さんに頼んでるからちゃんと来れるよ」
「アスナさんはまぁ……大丈夫か。メグさんはその、言いにくいですけどコミュ障発動してませんでした?」
そう尋ねると先輩は何か保護者の様な目をして空を眺め始めた。
「あの子は私が守るんだ」
「……この人、何かに目覚めてる」
苦笑いだけでもと必死に浮かべながら俺は「あはは」と乾いた声で笑うのだった。
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