第152話
第152話です。
クラスの文化祭準備もぼちぼち進めつつ、俺は先輩にある事を相談されていた。
「ライブをしたい、ですか」
「そう!アスナちゃんの学校でいい感じの手応えを覚えてね!それにあの時のライブ映像がSNSでプチバズリしててさ、こっちでも盛大にドカーン!ってかましてやろうかなと思って!」
「有志で参加できないこともないでしょうけど、でもアスナさん達はどうするんですか?アスナさんはまだ現実味があるとして、メグさんですよ。メグさんって広島住みですよね?」
「そうなんだよねぇ。実は私もそこで一番悩んでて」
メグさんは大阪に行くのでさえ時間とお金がかかるのに、それよりもさらにプラスアルファして時間もお金もかけさせるというのはどうにも渋ってしまう。メグさんだってまだ学生で、自身のバイト代で動いているのだ。本来それは高校を卒業してから使うべきであって今ではない気がする。
ただ、先輩が演奏したいとなるとやはりメグさんの存在は欠かせないのだ。あの人にしか刻めないビートがあるから余計にそう思う。
「どうします?」
「うーん……来て欲しいのはこっちだからなぁ」
腕を組みながら上を見上げると先輩は「あっ」と声を漏らした。
「私達でさ」
「はい」
「お金を出しあってメグさんの補助をしてあげるのはどうかな?」
「あぁ、補助ですか」
「もちろん、先輩でバイトもしてる私の方が多く持つけどね?後輩くんはサポートメンバーって事で少し助けてもらいはするけど」
「なるほど。まぁ、それならメグさんも来やすいですかね」
先輩の案に俺は賛同し、ひとまずメグさんに文化祭当日に来れるかという旨の連絡をした。返答自体はわりとすぐに来て、OKとの事だった。あとは有志で参加出来るかどうかだ。
「じゃあ私は文化祭実行委員会に掛け合ってくるね」
「了解です」
「後輩くんはアスナちゃんに連絡よろしくー!」
「了解で……何で俺が?」
そこはメンバーでリーダーのあなたがするべきところでは?と思いながら、俺はアスナさんにLINEを送る。放課後という事もあって、こちらもすぐに返事があった。
『了解とだけカオリさんに伝えておいてくれ』
『分かった』
『それとさ』
『うん?』
『私達の出番が終わってから大阪に帰るための電車ってまだ出てるかな?』
『多分出てたと思うけど。数は少ないけどね』
『そ。ありがと。それだけだから』
『うん。じゃあまた変更とかがあったら連絡する』
最後にOKと指で作った女の子のキャラクタースタンプが送られてきた。
さてと、あとは先輩の方次第だな。まぁ、特に断れる事もないし、前回みたく無許可でやろうとしているわけじゃないから向こうも許可しない理由も無いだろう。
俺は屋上から出ると校舎の階段をゆっくりと降りる。途中自販機によりながらふと中庭を見た。
中心部には先輩が前回作ったよりもしっかりとしていて大きいステージの建設が進められている。スピーカーも運び込まれてるところからするとあそこで有志は何かをするのだろう。
あの舞台で先輩達が本気の演奏を披露するところを想像しながら俺はくぴりと甘ったるいミルクティーを飲んだ。
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