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第149話

第149話です。

 アスナさんの不服そうな表情の理由は分からないまま俺はリビングに戻ることにした。

 ポーズ画面の状態で放置されていたゲーム。コントローラーを操作してゲームを再開すると俺はあと少しで完成する家の制作に戻った。

 地下倉庫は大分完成しているし、あとは庭とかだろうか。

 シャベルを使用して道を舗装したり、川に潜って粘土を取ってくるとそれを焼いてレンガに加工したりと、オシャレになるように装飾を施していく。

 花も植えてみたいが近くに良さげなものが無いので、それはまたの機会にするか。それよりも畑を作らないと。

 アスナさんが命をかけて取ってきた鉄をありがたく使わせてもらい、俺はバケツとクワを作ると畑作りに精を出した。

 小麦畑にゾンビを倒した時に偶然手に入れた人参とじゃがいも。これを植えると、ガイコツから手に入れた骨で作れる骨粉を使用して成育を促した。


「いい感じ〜」


 満足気に笑いながら俺はふと時計に目を見やる。

 時刻は2時。アスナさんが寝てから1時間も既に経っていた。さすがに人の家でずっとゲームをし続けるのもあれかと思ったので、俺はソファで寝ることにする。

 セーブをすると、ゲームとテレビの電源を消しコントローラーを仕舞う。その後に部屋の電気も消すと俺はソファの上に寝転がった。さすがに横になると足が出てしまう。


「腰が痛くなってませんように」


 そう祈りながら俺は目を閉じる。



◆◇◆◇



 ぼんやりした頭を動かしながら俺は地味に痛い腰を摩る。

 カーテンの隙間からは微かに外の光が漏れ出ていた。

 スマホで時間を調べると6時半と表示される。


「起きないと……」


 そう言って体を起こすと俺は不思議な光景を目にする。


「……何で?」


 目の前には俺の太ももを枕にして寝ている少女の姿があったのだ。ソファに寝転ぶスペースなど無いから、床に座って顔を伏せるような形で。しんどくないのだろうかと思うと同時に、そもそももっと快適なところにいたよねという疑問が浮かぶ。

 にしてもなぜこんなに安らいだ表情で寝れるのかは不思議でしかなかった。男の太ももなんて硬くて寝心地なんて言葉が出てくるような代物でもないのに。


「変な子だよなぁ」


 そう零しながら俺はさらりと流れる様な銀髪を手ですくう。

 染めているとはいえ、ちゃんと髪の毛には気を使っているそうで、キューティクルはちゃんとある。


「アスナさん、起きて下さい」


 頭を撫でながらそう言うと声を少し漏らしながら薄目を開けたアスナさんと目が合った。


「おはようございます。よく寝れましたか?」

「……何で京弥がここに」

「昨日アスナさんに泊まれって言われたからです」

「……そうだったけ?」

「そうじゃないと俺はとっくに自分の家に帰ってますよ」


 笑いながらそう話していると、アスナさんはのそのそと顔を持ち上げた。キョロキョロと周りを見渡して、やっと自分がベッドの上にいないことを認識したらしい。少し驚いた表情を浮かべながらバッと両手で自身の体を守るようにする。


「……強姦変態野郎」

「何もしてないのにとんでもない言われよう。泣きそう」

「……うそだから泣くな」

「知ってるよ」


 2人して「くすり」と笑いながら俺はソファから降りた。


「アスナさんは今日も文化祭だったよね?」

「ん、あぁ。行きたくはないがな」


 俺達はそれぞれ着替えるとソファに腰かけ、テーブルに置いた食パンを手に取った。

 食パンをモグモグとしながら食べるアスナさんはそう言う。


「今日も来るか?」

「いや、さすがに帰るよ。明日学校だし」

「……そうか」


 ほんの少しだけ寂しそうにしながらアスナさんは頷く。俺がいた方が楽しいだろうかと思ってしまうが、どちらかと言うとただの暇つぶしの相手でしかなさそうだなと結論づけるた。

 なんとなくそっちの方がしっくりくる。

 俺も食パンにかぶりつくとしばらく無言の時間が続いた。

 今日は朝から帰るために数時間かける。多分また寝るだろうななんて事を考えながら、その静かな時間を俺は楽しんだ。


ぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!次回は21日です。

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