第143話
第143話です。
テレビには広大な自然の風景が映し出される。画面は大きく二分割されており、それぞれの中心には1人ずつアバターが立っていた。
「よーし、拠点作るぞー」
「はーい」
「まずは木を刈れー!」
アスナさんの指示に従って俺は近くに生えていた木を刈り倒しまくった。
現実世界でそんな事をしたら確実に白い目で見られるが、ゲームの世界では話が別。いくら倒しても苗木を植えたらものな数分で立派な木が生えてくる。
「木のストックが三つ溜まりましたー」
「よーし、じゃあドアと屋根と壁を作って」
「はーい」
「私は石と鉱石を集めてくるから、死なぬようにな」
「はー……ってそれはアスナさんなんじゃ」
アスナさんが行こうとしている洞窟というものには多数の敵キャラクターが存在している。ゾンビから何から何まで、凶悪なものが勢揃いだ。
「武器は持ってる?」
「剣は二本あるぞ。斧も二本。あとツルハシは五本ある」
「五本!?なかなか揃えたね」
「しばらく潜るつもりだからな」
アスナさんのアバターのもとに近づいて姿を確認すると、どうやら既に一番下の装備ではあるが揃え終わったあとらしい。どうりで牛の鳴き声がよく聞こえてきていたわけだ。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「光源の確保だけは頼んだぞ。それがないといくら家の中と言えども危険だからな」
「了解です」
元気よく返事をすると俺はまた家造りに戻る。
アスナさんの家でこのゲームをプレーするのはおそらく最後だが、このゲーム自体はオンラインプレーにも対応している。そして俺もこのゲームを持っているので、家に帰ってもまた一緒にできるのだ。だから家は丁寧に作り込む。
この単純作業好き。
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