第135話
第135話です。
「といいますか、忘れかけてましたけどカオリさん達一体どうやってここが分かったんですか」
「んー?学校はねアスナちゃんのバイト先のオーナーに聞いた!あとは文化祭がある事は後輩くんが話してたから乗り込んじゃえっ!てことでメグさんも誘ったんだよ〜」
「そんな軽いノリで言ってますけど、メグさんとか交通費馬鹿にならないんじゃないですか?決して近いわけじゃないのに」
「そ、そこはバイト代で何とか出来ましたので」
「絶対ダメでしょ……」
アスナさんは呆れながらため息を着くとジロリと俺の方を見た。そして人差し指を俺の胸元に突き立てると小言をこぼしてきた。
「京弥がちゃんとカオリさん達も誘えばこんなサプライズみたいな事にならなかったんだぞ」
「で、でも、招待人数が増えたらアスナさんの負担が……」
「1人も3人も大して変わらん」
「は、はい……ごめんなさい」
「はぁ……それでカオリさん達はどうしますか?一緒に回ります?」
再度ため息を着きながらアスナさんは先輩達にそう尋ねる。
当の本人達はそこら辺の事をあまり考えていなかったのかしばらく腕を組んで悩んだ。
回るかどうかくらいなら一瞬で決めれそうなものだが、何か用事でもあるのだろうか。
そんな事を考えていると「そうだねぇ」と言いながら先輩は胸の前で指をクロスさせてバツ印を作った。
「本当はもう少しゆっくりしたいけど、私とメグさんは卒業してすぐ一度大阪に住むつもりなのでこの土地になれるために色んな所を見て回ることにするよ」
「なるほど。でもそれって別の機会にもできるんじゃ?」
思ったことをそのまま口にして尋ねると、先輩は首を横に振り俺の言葉を否定した。
「その別の機会がいつになるのか分からないし、何よりやっぱり交通費は少し学生の財布には痛いからね。こういう時を利用しないといけないんだよ」
「そういうものですか」
「そういうものだよ。そうだ、なんなら後輩くんも一緒に大阪の街を回るかい?知ってて損はないでしょ?」
「そうかもしれませんけど、今日は先約があるので」
そう言いながらアスナさんの方を向けばなぜかそっぽを向かれてしまう。寂しいなと思いながら苦笑いを浮かべると「まぁ……先約は先約だから私が優先」とボソリと呟く声が聞こえた。
定期的に可愛い事を言ったりするのでアスナさんはギャップが常に絶えない。可愛いのは癒しになるからいいのだが、ギャップありの場合だとたまに胸がキュッとなるからしんどくなる時もあるのだけど。
ともあれだ。先輩達とは一旦ここでお別れ。また学校で出会うことを祈るばかりと言ったところなのだ。
「じゃあ先輩、くれぐれも迷子にはならないで下さいね」
「ならないよ!?」
「メグさんも先輩の事を頼みました!」
「う、うぇっ!?わ、私ですかっ!?が、頑張りますぅっ!!?」
本当に任せれるのか不安になりつつも、何事もなく今日を終えてくれることを祈るのだった。
「あ、そうだ、お2人に黒猫のぬいぐるみのおすそ分けです」
そう言って俺はアスナさんに渡した一頭以外のものをそれぞれに渡した。
メグさんにはちょうど中間のサイズのものを、先輩には一番大きいサイズを渡すと各々がいい反応を見せてくれる。
「おぉ、大っきい!あと可愛い!」
「ふわふわ……それにくりくりおめめ」
メグさんはじっと見つめながらそう言うので、どうやら相当気に入ったようだ。
こちらとしてもここまで喜んでくれたのなら、頑張って取ったかいがあるというもの。
「よしっ、じゃあ私達はそろそろ行くね」
「そうですね。忘れ物は無いですか?」
「ないよ〜」
「ならオッケーです」
先輩はメグさんの顔を見ながら頷くと俺達に手を振った。
「じゃあまたね〜」
「さようなら」
「気を付けてくださいね」
「ん、さようなら」
校門のある方向へ歩いていく2人の背中を見送りがら、俺は「よしっ」と言ってアスナさんの方を向く。
「じゃあ次はどこに行こうか」
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