第132話
第132話です。
目の前ではバンドによる演奏が行われていた。アスナさんが下手くそだと言い切ったバンドらしい。ただその言い切った本人は思っていた以上にリズムに乗っていた。
「どう?」
「何が」
「あのバンドの演奏」
「下手くそなんじゃないの」
「でも体はリズムに乗ってるみたいだけど?」
「それとこれは関係ない」
「何それ」
暴論と言っても差支えのないようなその理論に思わず笑いながら前を向き直った。このバンド達もフィナーレだ。
しばらくしてから司会による次の出し物の紹介をされる。
「続いては皆さんも予想しない、当日乱入型の有志による出し物です!そして今回はなんと、もう一組バンドが出ることとなりましたー!!」
バンドが複数出ることが珍しいのかは知らないが、思っていたよりも1年生を除いた在校生はざわついている。アスナさんにその事について尋ねてみれば、一つ一つの有志の印象が薄くならないように基本被らないようにしている、との説明をされた。
「にしてもどんなバンドなんだろ」
先程のは男子による5人組のバンドだった。良くも悪くもパワフルさで乗り切るようなそんな感じの音楽を奏でるのが特徴的だった。さすがに同じ系統ではないとは思うものの、多少は新鮮さというものを感じていたい。
「続いて出てくれるバンドはなんと他校からのお客さんだということらしいです!何でも生徒会に直接出てもいいかの連絡があったらしく、許可を出したところすぐに来てくれたそうです!」
強引に進めるというところは何だか馴染みのあるところだなぁなどと思いながら続きを聞いていると司会の人から「ガールズバンド」という単語が聞こえてきて俺は思わず真正面を向き直ってしまった。そしてそれはアスナさんも同じらしい。
俺達のところと特徴が一致してきているのだ。
「なんとバンドのメンバーは3人なのらしいのですが、この3人とも別の高校に通っているとの事で、奇跡的な出会いがあったという高校生にしてすでにドラマ性も孕んだ将来有望な実力株!それでは登場していただきましょう!どうぞ!」
そう言って舞台袖から手を大きく振って出てきたのはとても見覚えのある顔の2人だった。
「どうもー!!和歌山の方から来ましたカオリとー!」
「ひ、広島から来ました!め、メグですっ!」
その2人が出てきたあとに周囲の人達は最後の1人はまだかまだなのかとざわつき始めた。それもそうだろう。司会の人は3人と紹介していたのだから。
「みんなー!最後の1人がどこにいるのか気になるよねー?」
煽るようにしながらマイクを客席の方に先輩は向けると、生徒達はとてつもない声量で「気になるー!!」と叫んだ。
「うんうん、くるしゅうない」
満足気に先輩は笑うとマイクを口元に持っていきすぅっと息を吸った。
「私達のベース!アスナちゃーん!そこにいるでしょー!!舞台上にカモーン!!」
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